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細越麟太郎 MOVIE DIARY



9月6日(水)10-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-102『ネルーダ*大いなる愛の逃亡者』"NERUDA" (2016) Fabula, Funny Balloons, AZ Films , Satembro Films , Willles Movies チリ

 監督・パヴロ・ラライン 主演・ルイス・ニェッコ、ガエル・ガルシア・ベルナル <108分・シネマスコープ> 配給・東北新社

1948年の南米チリには、第二次世界大戦の敗戦によりナチスの重要戦犯などの密航逃亡者が南米に散らばり、危険な敗戦の戦渦を逃れた高官たちは偽名で潜伏していた。

ヒッチコックの「汚名」では、その亡命した戦犯を追う連邦捜査官とスパイたちの暗躍を巧みにサスペンスにしていたが、この「ネルーダ」は実在のチリ政府高官。

チリ上院議員としてのネルーダは、一方では画家の妻と同様に詩作の才能もあって、かなり政治に反発する思想の作品も多かったことから、時の大統領から弾効を受けていた。

周囲の圧力を感じた彼と妻は、政府の不当な逮捕拘束を逃れて、逃亡の日々を国内で送るが、多くの賛同者たちの協力を得て、あのパブロ・ピカソもネルーダを応援していた。

ま、実際には、そうでなくてもナチスの残党狩りで国際警察も暗躍していた時代なので、彼は一時はモスクワまでも身を隠していた事実もあったらしく、その行動はスパイ並み。

という、チリでは人民に人気の高かった詩人ネルーダは、何と、1971年には、ノーベル文学賞も受賞して、その動向は世界からも注目されていたという。

映画はその怪人物のキャラクターを、非常に好意的に描いていて、とくに思想色はなくて、ある種スパイ・サスペンス映画の気風を漂わせる、珍しい<チリ・ワイン>の風味だ。

ネルーダを演じるルイス・ニェッコも、あの名優ブローデリック・クロフォードの弟のような風貌ながら、実に軽妙なユーモアも滲ませて、この作品の魅力を独占している。

だから政治的な歴史背景よりも、ある種、軽妙なスパイ映画を見る様で、あの名匠フリッツ・ラングが見たら、大いに喜びそうな作品に仕上がっている。

特にネルーダを執拗に追うチリ警察の警官ガエル・ガルシア・ベルナルのマジメ腐ったような表情は、「ノー・エスケープ・自由への国境」の時とはマ逆で好感が持てる。

ちょっと、<ひろいもの>をしたような、スパイ・サスペンス映画として、ユーモアもあって、最近のB級映画としては<お買い得>のような、おしゃれな作品だ。

 

■セカンド・オーバーのフライがポロリとライト前にヒット。 ★★★☆☆+

●11月11日より、新宿シネマカリテ他でロードショー 



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