幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

四次元バカンス

2019-08-18 01:13:04 | Weblog


南の島に行って青い海に浮かんだ

白い砂が風に飛ばされて目が見えなくなった

深い海の底に沈めば明日を思い煩うこともないと思った

でも夜になれば腹が減って見知らぬ街の雑踏の中を歩いた

外国人観光客の一人として誰でもない自分のまま

思い出もない見知らぬ誰かと一緒に明日もわからないその日暮らしをすれば

親も兄弟も友人もいない自分でいられる

旅とは本来そのようなもの

行くあてもなく彷徨いながら

自分は誰かと問う自分すらもいない

過去の記憶は風化した遺跡のように風に飛ばされ

未来を写し出す映写機はショートして点滅しているだけ

光の明滅は

南海の波しぶきとなり

スローモーションになり

孤立した現実が夢の中に浮かんでいる
























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