火曜日
火曜日
火曜日
熱かった火のように
まるで熱にうなされているみたいに
今日も終わった
明日は水曜日
きっと水のように涼しいのだろう
ひょっとしたら
27度の空に雪が降るかもしれない
24金を秤に掛けて売る
すぐ横を車が通り過ぎる
轢かれたらどうするんだろう
死んだら換金した金を使えない
永遠に
朽ちることのない24金
なんのために金を売るのだろう
見えない車輪が軋む音が聞こえる
ピアノの雑音のような悲鳴
耳障りな時計の秒針の繰り返し
突然、記憶が消え
想い出も消える
遺した恥さらしの絵が
炎に焼かれる
自分の骨より、それを拾ってくれよ
ヴァギナやペニスの絵
生前そればかり描いていたサイコだったと
思い出してくれよ
たぶん子供の頃に思ったのだ
性を自由にしなければ
人間は真に幸福にはなれないのだと
だから自分のペニスが愛おしかったし
どうして芸術家はそれを描かないのだろうと思った
ミケランジェロもダビンチも描いていることを知って
幼い6つか7つのぼくもそれを描いてみた
そして引出しに大事にしまった
自画像はキリストになったり
インディアンになったりした
インディアンが好きだった
裸で頭に羽根飾りを付け
馬に乗って戦うインディアン
ぼくも大きくなったらインディアンになろうと思った
そしてなった
インディアンは西洋近代文明を知らない
だからぼくもバカにされた
デパートの外商の課長や
商社のお偉いさんたちから
インディアン、インディアンと揶揄され、からかわれた
ぼくはおべっかなど絶対口にしなかったから
孤独は強いと言われたことがある
三日も徹夜して働いたとき
一番恐い親方がぼくのことをそう言った
汗で濡れたTシャツの着替えを貸してやると言われて
いらないと断ったとき
よく深夜に牛丼を食べに行ったな
チェーン店の牛丼屋じゃないよ
貸しビルの2Fにあった飲み屋のような定食屋
けっこう、いろいろ注文して腹いっぱい食べた
酒はビールも飲まなかったけど
店のマスターはニコニコしていた
帰ってきて、しばらく目を覚ましていて
それから死んだように寝た
三日貫徹明けのアパートの部屋
いつそこから抜け出せるだろうかと思っていた
まるで囚人のようだと自分の境遇を呪った
それでも、ぼくは、一人の人を想っていた
もうとっくに壊れていたのに
もう電話もできないのに
既に他に男がいるのを知っていたのに
女々しく年上の髪の長い女のことを想っていた
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