5人の女
歩道を歩いている
犬をつれたみすぼらしい老婆
凱旋門を自転車で走り抜ける
買い物かごには
腐った野菜
それを食べるのだろう
それを煮て食べるのだろう
それを洗って生で食べるのだろう
それを焼いて食べるのだろう
それを火であぶって食べるのだろう
それなのにどうしてぼくは
こんなに悲しいのだろう
あの5人の女がそれぞれに
ぼくを見ていたから
ぼくは一人を見て
それを見ているもう一人を見た
そうしたらもう一人がそれを見ていた
あとの二人は
目を瞑っていた
きっと海と山を見ていたのだろう
一人は水着を着て肌を焼き
一人はコートを着て見物
水がたくさんあって
その中に浮かんで
沈んでいく
昨日あったことを今日はもう忘れ
明日あることを今日はもう考えない
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