幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 お願いだから

2009-05-19 23:28:49 | Weblog

 
 
 お願いだから
 
 教えてください
 
 存在の秘密を
 
 あなたの内奥の真実を
 
 あなたは御存知のはず
 
 なぜなら、そうでなければ
 
 あんなことはしなかったでしょう?
 
 あんなに確信のあるような行動ができたのは
 
 きっとあなたは知っていたからにちがいないのに
 
 なぜあのときあんなことをしたのか
 
 僕には未だに理解できないから
 
 永遠に忘れられないのです
 
 
 午後の強烈な太陽が遠くにあった
 
 コンクリートの床は水で濡れていた
 
 真夏の空気で暖まっていた
 
 空には入道雲が音もなく湧き上がっていた
 
 あなたのからだの筋肉の一つ一つが
 
 僕の目には眩しかった
 
 そして
 
 あなたは僕を
 
 僕の目を欲していた
 
 まるで乾いた喉のように
 
  
 小さい花が風に揺れるように
 
 ふるえながら輝いていた
 
 
 それなのに
 
 永遠という時間が
 
 あたかもこの一瞬で消えてしまうように
 
 日が陰り
 
 冷たい風が吹いて
 
 夕方になった
  
 
 
 冷たくなった身体から
 
 覆いをはぎ取り
 
 月の光を浴びて
 
 肌と肌を重ね合い
 
 なにを確認しようとしたのか
 
 
 僕には分からないから
 
 あなたに教えてほしいのです
 
 
 お願いだから
 
  
 あなたの本当の
 
 内奥の真実を
 
 
 永遠に二人を分かつ時
 
 それが瞬きする後に必ず訪れるのは
 
 まるで死が行きつく先に必ずあるように
 
 決して変更できないことだから
 
 あなたと僕は別れ別れになったとするなら
 
 魔法などあり得ないフィクションだとしても
 
 僕は呪文を唱え 
 
 0%の確率に賭けるしかないのです
 
 あなたが僕に
 
 存在の秘密を
 
 そっと教えてくれることを
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿