わびれた音楽喫茶でホロヴィッツを聴きながら
寒い街でデートしている夢を見るのもまたいい
切ない恋に誘うメロディーは
厚手の毛糸のセーターを着た女性がよく似合う
見知らぬ人
イスタンブール在住
黒い瞳黒い髪
夢ではなく実在している彼女
地球の裏側から逢いに行くだけの情熱があれば
それが男女の恋だろう
盲目の恋
何万キロを旅して逢いに行ったとしても
振られてしまうかもしれない
でもそれが幸せの炎を燃やし続ける源泉
あなたに賭ける私
私に賭けるあなた
お互いの賭けが成立したら
あとはどんどんとイマジネーションを釣り上げていけばいい
無限に男女の恋は切なくて
欲望の駆け引きは快楽をより洗練させ熱くする
ホロヴィッツの名演のように淡々としながらも
ショパンの憧れにイマジネーションする甘美な関係
冬は風が冷たく身体は凍りつくが
ピアノの音が漏れる窓の光は暖かく夜を照らす
そこに彼女がいるのなら
一人でピアノを弾いているのなら
きっと僕を誘っているのだろう
そう想像するのが、僕のイマジネーション
夢の中では
そのイマジネーションが成就する
逆に、イマジネーションが成就する夢を見る
それもまたもうひとつの僕のイマジネーション
夢であろうと現実であろうと
それを意識することが創造すること
だから現実は夢であり、夢は現実
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