幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 指の爪は一つ目

2010-10-30 23:55:28 | Weblog

 
 
  指の爪は一つ目
 
  食べることを我慢している
 
  勉強家ではないから
 
  
  目をいたわっていると
 
  動物によって見えるものが違うことが分かる
 
  幻視
 
 
  キャンプには出掛けない
 
  大勢は嫌いだから
 
 
  山に生える植物を見つめる
 
  現実は、たったひとつではあり得ないから
 
 
  名前をつける
 
  現実が固定化され
 
  柔軟性がなくなり
 
  導きを失う
 
 
  夜、いつまでも待っていると
 
  行き場所を失って
 
  忘れてしまう
 
  目玉で見ることを
 
 
  指の爪のような一つ目
 
  目玉が十個もある
 
  十の現実
 
  同じ日、同じ場所で交わる
 
 
  そのときぼくは見てはいけない
 
  聴いてはいけない
 
  言葉は感覚ではないから
  
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 

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