幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 夏に近い夜

2010-05-17 00:15:13 | Weblog

 
 
 ぼくは
 
 あなたが知っているぼくではない
 
 あなたに出会う前にすでに
 
 ぼくは
 
 あなたが知らない世界にいた
 
 ぼくは
 
 すでにあなたが知らない体験をしていた
 
 ぼくは
 
 無垢でもないし
 
 チルドレンでもない
 
 ピーターパンでもないし
 
 純粋でもない
 
 あなたが愛せる
 
 アイドルでもない
 
 (アイドルならCDでも出せば儲かるかもね)
 
 でも誰からも
 
 ちやほやされたりしないし
 
 させやしない
 
 させやしなかった
 
 
 あなたを守りたいと思った
 
 あなたを幸せにしたいと思った
 
 でも
 
 でもそれは
 
 でもそれはぼくのできることではなくて
 
 ぼくだけができることではなくて
 
 だれにでもできることだった
 
 それは
 
 それは貨幣で
 
 ただの貨幣で
 
 できることだった
 
 貨幣さえあればできること
 
 それってなんて陳腐なんだろう
 
 そうぼくは思った
 
 それってぼくの負け犬の遠吠え?
 
 悔しかったら
 
 勝ち組になってみろって?
 
 底辺に散らばってる屑じゃなくて
 
 ヒエラルキーを駆け上がってみろって?
 
 確かにね
 
 根性があれば
 
 なんだってできる
 
 命を賭ければなんだってできる
 
 
 命を賭けた
 
 ある夏に近い夜
 
 満天の星空の下
 
 ぼくだけしかいなかった
 
 そして
 
 ぼくだけのこの命
 
 投げ出した
 
 
 あなたのために
 
 あなたのために
 
 あなただけのために
 
 
 ぼくのために
 
 
 あなたが欲しかったから
 
 あなたがどうしても欲しかったから
 
 あなたが欲しかった
 
 あなたがどうしても欲しかった
 
 
 
 
 そう簡単にくれやしないよね?
 
 
 
 あなたを・・・
 
 
 
 あなたのすべてを・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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