ぼくが絵を描いたからって
絵描きになるわけじゃない
ぼくが詩を書いたからって
詩人になるわけじゃない
だから 労働している
できるだけ楽な労働で生きられればいいのだが
なかなかそうもいかない
しかたない
ほとんど自分で自分の行動を決めることができない
そういう生物もいるのだ
もしぼくに自由な時間が与えられたら
つまり金の力によって自由が買えたら
ぼくは快楽に溺れるだろう
つまりクリエーションをする快楽
日常ではぼくのクリエーションは禁止されている
きっと反社会的なのだろう
でも非日常では
ぼくの想像はだれにも禁止できない
だからぼくは無一文なのだ
海辺の砂のように
清潔な
透明な
音が聞こえる
それが何の音だかわからなかったのに
聴こえていた
思い出そうとすると
急に気づく
それこそが
最も意味のあることなのだと
ぼくはそれをずっと捜していた
それがなんだか知らぬまま
それがそこに転がっていた
波打ち際に打ち寄せる波のように
自然に打ち上げられる
記憶の深海から地上の空の下に
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