幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 誕生の神秘

2008-07-02 01:02:46 | Weblog

 

 もう夜の1時だ
 
 生まれてから今まで
 
 神聖な時間が流れ
 
 今
 
 覚えた言葉で
 
 無意味なことを書いている
 
 まるで思考というものが
 
 とても価値のあるものででもあるかのような
 
 思い違いをしながら
 
 その思考に振り回されて
 
 運命の命じるまま
 
 今まで生きてきた
 
 それなのに未だに
 
 夢のひとつも実現していない
 
 ぼくはいつかパリに行くのだ
 
 でもそれはぼくにとってとても重要なことだから
 
 気軽に一週間の観光で行くわけにはいかない
 
 そう言っているうちに

 ついにこの目でパリを見ることもなく

 たぶんこの世とおさらばすることになるのだろう

 ぼくはもう少し金持ちになるはずだった

 でもどこでどう足を踏み外したのか

 この社会では

 外縁にぶら下がっている

 老いぼれたアウトサイダーになってしまった

 もうすぐ俺の人生も終わりだ

 あと数十年

 あっという間に終わってしまう

 そして

 自分が生きた痕跡など

 何一つ残さないまま

 この世から私は消えてしまうのだろう

 生まれてきたのも神秘なら

 死んでいくのも神秘

 そして、今、生きていることも神秘

 だったら

 少なくとも

 この神秘に気づいていよう

 この神秘には終りがないから

 決して飽きることもないだろう

 死ぬまで生きている限り

 この神秘に気づいていよう
 
 
 
 (今日は私の誕生日)

 

 
 

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