幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 裏側を向いた太陽

2013-11-10 00:10:09 | Weblog

 
 
  裏側を向いた太陽が
 
  卵の空を流れる川をひからびさせて
 
  死んだ魚が飛び跳ねている海
 
  今にも生き返ろうとしている魚もいる
 
  すでに死んだ魚もいる
 
  尖った銛で突いて焼いて食べると
 
  炎のオレンジ色が空に溶ける
 
  裏側を向いたインディゴの太陽
 
 
  ねえ、ぼく、書いてもいいかな
 
  たとえば、あなたへのラブレターっていう狂気の詩
 
  だって、もうこの脳も使えないぼくなのに書いているんだから、こんなこと
 
  狂気ってほどでもないけど
 
  どうせ、ことば使ってんだから
 
  理性はあるんだよね
 
  それが問題、なのかもしれない
 
 
  ほんとうはあなたをメチャクチャにしたくなる
 
  わかる?
 
  でもできないんだ
 
  ぼくが優しいからじゃなくて
 
  あなたをメチャクチャにする武器が腐っちまったんだ
 
  素手で戦えるのは敵だけだ
 
  ニーチェはどんな鞭を持って女の所に行ったんだろう?
 
  ぼくは、鞭なんか持って行きやしない
 
  熱くなった神経の固まりを持って行くだけだけど
 
  鉄の棒みたいに熱いうちに打てないから
 
  僕は脳から溶解していく妖怪のような気分になって
 
  自分の亡霊に怯えてるんだ
 
  あなたは、完璧に、ロザリオの祈りのような微笑みを浮かべて
 
  ときどきはぼくを昇天させてくれるけど
 
  それは本当に神の恩寵なんだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 

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