幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

カラスのカラコ、親元に帰る

2020-06-03 21:54:00 | Weblog

2020639時。

巣から落ちたカラスの子供カラコを預かって一週間が経ちました。一緒に寝ていた二階の寝室の窓を開けると、カラコはベランダの手摺りに飛んで行き、その上にとまりました。それから、目を離した隙に、どこかへ飛んでいなくなりました。迎えに来た両親は近くにいて励ますように鳴いています。

カラコは裏のアパートの建物のどこかにいます。そちらから鳴き声が聞こえてきます。

いちいち細かく書くなと思われるかもしれませんが、思ったことを書きます。


カラコは今日初めて外の世界に遭遇しました。まずは遠くを見る視力に目覚める必要があります。今必死で周囲を見廻して、新しい世界を創造しているところです。自分の中に新しい世界が創造されると、その中を自由に飛び廻ることができます。今は無限に広がる外界とのエンカウンターの真っ最中です。

ときどき弱気になって親を呼びますが、また外界を自分の目で見廻して驚愕します。

その驚愕の世界を自分の翼で自由に羽ばたけることをまだ知りません。まだ気づいていません。行動と認識がバラバラになっていて、まだ結びついていません。一度決心して飛び立つと、その瞬間に筋肉が自然に翼を羽ばたかせます。でもその決心がつかないので、周囲を見廻しています。だんだんと自分の視力が受動的なものから能動的なものに変わっていきます。遠くの、行きたいと意志した一点を見つめるだけで、自動的に翼を力強く羽ばたかせることができるようになります。

今、カラコは、新しい自分自身との遭遇の真っ最中です。新しい自分に遭遇したら、古い受動的な弱々しい自分はどこかに消えて無くなってしまいます。