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昨日、国民新党と社民党で『かんぽの宿』問題のヒアリングを行った。疑問百出、郵政公社幹部の説明も心もとない「おいおい、大丈夫かい」という状態だった。が、新たな資料が提出されて、これまで私たちが知らなかった事実もいくらかは判明した。聞けば聞くほど、これが「一般競争入札」だったのかという疑問がふくらんでくる。

 このヒアリングの前、電話で日本郵政の担当者に「入札日はいつだったのか」と問うと、意外な答えが返ってきた。「入札日というのは特にないんです」「えっ、ホント」と思わず聞き返してしまった。入札日がない一般競争入札というのはありえるのだろうか。うーん、世の中で不思議なことは多くあるが、あまねく一般に公開して(公告の手続きを取る)行われるはずの公有財産の処分が、融通無碍な企画競争方式の随意契約で処分されているのではないかと強い疑いを持つ。

ヒアリングでは、譲渡対象施設のかんぽの宿+社宅+ラフレさいたまの取得原価が明らかになった。土地が294億8千万円、建物が2107億4千万円、合計で2402億2千万円だという。ただし、建物は老朽化した施設を建て直した場合には、新たな建物だけの価格だとした。資産評価は誰が行ったのかという質問に対して、3社の名前が明らかになった。かんぽの宿については、東⇒㈱全国不動産鑑定士ネットワーク、西⇒三井不動産販売㈱、首都圏の社宅・ラフレ⇒みずほ信託だという。やはり、目玉の社宅とラフレ埼玉は別扱いだったのだ。「社宅の評価はどうだったんだ」という質問に対して、不動産鑑定価格ではないが「簿価で32億2千万円です」と答えた。「だったらラフレはどうなんだ」と問うと「ご勘弁ください。個別の物件についてお答え出来ません」という。

日本郵政の西川社長は、かんぽの宿等の施設のオリックスへの一括譲渡を凍結することを記者会見で明らかにした。一方で「入札に不正はない」と胸をはっている。そうであれば、一括売却にかかる関係資料を公開するべきではないか。

日本郵政社長、かんぽの宿一括売却の「一時凍結」を表明(朝日新聞)



(1月28日 社民党・国民新党「かんぽの宿」合同ヒアリング 参議院議員会館)

ヒアリングの最後で、国民新党の議員から注目すべき事実が公表された。なんと、宮内義彦氏自身が2001年刊行の著書で「かんぽの宿」を強く批判して、民間が対抗出来ない官営事業だと指摘しているという。この議論は、おそらく当時、私も同様の内容でしてきたが、問題は宮内氏が小泉内閣で「改革の司令塔」に立って指揮棒をふるう立場となり、「民営化」後にフタをあけてみたら安値で買い取りましたという当事者としても登場する、「出来レース」(鳩山総務大臣)的な位置にいることだ。以下、該当個所を引用しておく。

[引用]

『経営論』(宮内義彦著、東洋経済新報社、2001年6月刊)p9-p11

第1章 官営・統制・市場――日本に混在する三つの体制

日本に色濃く残る官営経済

 官営経済とは、文字どおり「官が運営している経済活動」のことです。代表的な例は、総務省郵政事業庁(かつての郵政省のこと)が運営している郵便貯金や簡易保険、郵便や「かんぽの宿」などの事業です。

 郵便貯金は、日本最大のATM(現金自動預金支払機)網を誇っています。また、財投機関等が国から利子補給を受けているため、民間の銀行よりも高い利子を貯金につけることが可能となります。国からの補助といっても国は自らお金を稼ぐわけではないので、結局は国民の税金を使ってという意味です。

 このほか郵政事業庁は日本の郵便事業を独占しています。NTTやNHK(日本放送協会)などの監督官庁も郵政事業庁です。インターネットの普及やデジタル放送の開始などもあり、郵政事業庁は社会への影響力の大きい行政組織になっています。

 ホテル業や観光業と競合する「かんぽの宿」は、正式には簡易保険福祉事業団が運営している「簡易保険郵便年金保養センター」のことです。全国に八〇カ所くらいあり、郵便局で集めた資金で造られました。

「かんぽの宿」は、本来は簡易保険や郵便年金の加入者向けの宿泊施設でしたが、加入していなくても申し込みさえすれば泊まることができます。料金の割に施設が充実しているため、主婦層を中心にした顧客基盤をしっかりと築いています。

 こうした施設に民間のホテル、旅館業が対抗していくのは容易ではありません。国民の税金をもとにした膨大な資金力を背景に造られていますから、一介の私企業がかなうはずもありません。そもそもなぜ、国の機関が宿泊事業をしなければならないかを根本から問い直すことも必要でしょう。

 このように、郵便や貯金さらに宿泊施設までを一つの官庁が運営しその規模が巨大となっているのは、恐らくかつての社会主義国にしかなかったものでしょう。郵便貯金の規模は約二五〇兆円となっており、世界最大の金融機関にまで肥大化しています。これは個人預金残高の約三五%を占め、また個人金融資産残高に占める郵貯残高の比率で見ても日本は十八・七%と欧米諸国と比べて突出しており、先進国のなかではきわめて異例です。

 こうした官営経済の本質は社会主義経済と変わりありません。その本質とは経済効率の悪さです。旧ソビエト連邦共和国が社会主義経済の代表的な例です。「社会のためには計画経済のほうがいい」というシステムです。

[引用終了]



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