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年末の30日は、10年以上前から誘われていたコミックマーケット(東京ビックサイト)にようやく足を向ける機会があった。正午、りんかい線の国際展示場駅を降りて、人の波に乗って約10数分でビックサイトの入口に着いた。とにかく、ものすごい人の数だ。

「国際部」のインターナショナルデスクがあると聞いて探そうとするが、手がか
りがない。ようやく、約束していた山口貴士さんと連絡が取れ、15分ほどウロウロした後で合流した。山口さんは29歳、紀藤正樹氏のリンク総合法律事務所の若手としてバリバリ活躍している。今日は、彼の案内でコミケを歩いてみることにする。

 本部室に立ち寄って、主催者の米沢嘉博さんと2年半ぶりに再会する。以前は、世田谷のオフィスでやはり山口さんの紹介でお会いした。コミックマーケットをビックサイトでやるようになって10年になる。「これ以上、大きな会場はありませんから、ここで継続してやっていくしかないんです」と米沢さん。

 1日目の29日は16万人、今日は20万人の来場者があるだろうという。来場者を迎えるスタッフは2300人という規模だ。コミックマーケットとは、同人誌の即売会で出品したい人たちが45センチ×90センチほどのブースに自分の作品を持ち込む。1日目と2日目の出品者は総入替となるから、およそ12000×2=24000ブースが展示をするが、希望者は約5万件で抽選となる。(ブースの使用料は、7500円)

「ぜひ一度」という米沢さんのお誘いに、「ようやく来ることが出来ました」と御挨拶をして、いよいよ会場へと進む。案内をしてくれる山口さんは19歳の時からスタッフをしており、コミケ歴10年だ。旧知のマンガ家、山本夜羽さんとその仲間たちのブースもあり、表現の自由をめぐって意見交換をしたメンバーの顔もあった。

「いかに人の流れを詰まらせないで潤滑にするか、これがコミケのスタッフの腕の見せ所なんです」と山口さん。人気のブースは、1万部を売りあげるものもある事前に人気度・持込部数などを判定して、行列が長くなりそうなブースは、開口部の外に面したブースを割り当てる。1時を過ぎた段階でも、数百人が外に行列をつくっていた。

 反面、出品物も「百円」「2百円」と低額で、「出品したいから出している」ブースも多々あった。主にマンガだが、小説や評論、ゲームソフトもある。マンガを手にすると、「これでシロウトなの?」と驚くような水準の高いマンガもいくつもある。

「全部見ることは不可能なので、グループで手分けして買う人たちも多いですね」と山口さん。朝から夕方まで駆け足で見ても、すべてのブースをまわって、見ることは不可能だ。山口さんは2時間、慣れたルートでコミケの運営方法を語りながら、手際よく案内してくれた。

 それにしても20万人を相手に若いボランティアが頑張っている。一歩間違うと将棋倒しや、死傷者が出るような事故も起きる危険がある。「事故を起こさない。死人を出さないというのがコミケの一番大切なところですから」と山口さん。東西に救護所が設置されて、医師5~6名・看護師30数人がボランティアで常駐している。これまでのところ、大きなトラブルも事故もなく、整然と実施されてきた。

 年齢制限・地域限定なしのとてつもなく大規模化した学園祭かな、と思った。夏のフジロックでも同様の感想を持ったが、10万人規模の人々が大量のガードマンによる警備などのさしたる規制なく、整然と行列をつくり、争うわけでもなく黙と移動する。しかし、その列をなすひとりひとりの出会いがあり、ドラマがあるということを感じた。



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