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時々、政治家でありながら絶句するような法律に出合うことがある。一昨日に収録した「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」(日本テレビ)のマニフェストに「選挙カー禁止」とあったので議員会館で下調べをしていると、これホント?という素晴らしすぎる公選法の条文に遭遇した。私たち政治家は、先輩から「選挙カーの走行中に連呼をしてはいけないことになっているから、名前を続けて言ってはいけない(これぞ連呼)。政策やキャッチフレーズの合間に名前を差し挟むように」と聞いてきた。私は自分の選挙を過去4回、また、参議院選挙や地方選挙も数限りなくやってきて、そう信じていた。しかし、これは公選法を逆さに読んでいた誤解、公選法が求めているのは「選挙カーの走行中に許されているのは連呼だけ」というシュールな規定だったのだ。

このことに気づいたのは「知の関節技 選挙カーの『連呼』は『迷信』から生じているらしい」という記事だった。まさかと思いながらこの記事を読み、公選法の条文を確認して、国会図書館の専門家と総務省選挙課に問い合わせたら、驚きの事実が判明した。

まずは、公選法の条文を読んでみよう。

(車上の選挙運動の禁止)
第141条の3 何人も、第141条 (自動車、船舶及び拡声機の使用) の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第140条の2第1項 (連呼行為の禁止) ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。

この140条の2第1項の「ただし書」には、何と書いてあるのかというと――。

(連呼行為の禁止)
第140条の2 何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前8時から午後8時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。《改正》平12法118
2 前項ただし書の規定により選挙運動のための連呼行為をする者は、学校(学校教育法第1条に規定する学校をいう。以下同じ。)及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない。

つまりは、「連呼行為」は禁止だけれど、例外規定として走行中の自動車の車中では許されていると書いてあり、逆に「政策を訴える」などの演説などは停車中にのみ認められていたのだ。

「選挙運動のために使用される自動車の上において」「選挙運動をすることが出来ない」というのは、日本語として成立していないようにも思えるがどういうことだろうか。一方で、連呼は禁止のはずだったが、公職選挙法をみるとOKになっている。これは、法律が時代錯誤的かつナンセンスな選挙運動を枠づけているのと同じだ。

私が知らなかっただけではなく、番組に出演した政治家全員が「ホントなのそれ?」と首を傾げた。私たちは、公選法が「連呼を禁止している」と錯覚して、連呼をしないように心がけてきたのであった。

 こんなに時代錯誤でメチャクチャな法律を変えることが出来ない国会とは情けない限り。

 選挙カーを使わないとなると、電動自転車がリヤカーをひいてエコで決めたいと思っても、「自動車以外は選挙運動には使用出来ないので、看板や拡声器などを使うことは出来ません」(総務省)ということになる。自転車にトラメガを積み、インカムのマイクを通して、「政治を変えましょう」と呼びかけるのも、「自動車」ではないので公選法が許していない。

つまり、公選法が「自動車以外の車両」を排除していることから、選挙カーを使って選挙をやるしかなく、しかも評判の悪い「連呼行為のみ走行中認める」というナンセンスな光景を生んでいる、といっても過言ではない。インターネット選挙も禁止されたままで、この国の独特な選挙風景は、時代後れの法律によって枠づけされていたということが判り、不勉強を恥じつつ公選法改正の必要性を改めて感じた。




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