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「改革」という言葉にこの国の政治は何度踊ったことだろうか。故金丸信元官房長官の「政治とカネ」問題で、政治不信が頂点に達した頃に、「政治改革=選挙制度改革」だとすりかえた。本来なら、政治腐敗防止法をつくり、企業・団体献金の全面禁止と引き換えに政党助成制度を導入することが急がれるべきだった。しかし、すべては「小選挙区制度」を導入し「政策本位」の「カネのかからない政治」で「政権交代可能な二大政党制」の実現をはかるというのが改革の本道だとマスメディアは騒ぎ立てた。

 

この風潮をメディアの中で冷静に批判してきたのは、「そんなバカを言いなさんな」と選挙制度に精通した故石川真澄氏ぐらいだったと記憶する。マスコミが大合唱してつくりあげたのが「政権交代可能な二大政党制」だ。「政策本位」どころか、人為的に制度によって生み出されたふたつの政党は、政策が接近し違いが見えなくなることは選挙制度改革論議の時に十分予想されていた事態だった。自民党は政権復帰して以降、アメリカと経済界の要求に機敏に応える政治を「改革」と呼んだ。

 

この「改革」のイカサマぶりを自覚せず、いまだに「規制緩和こそ改革である」という呪縛にとらわれている言説が、テレビで垂れ流されているのは不愉快なことである。国民が政党を自由に結成し、あるいは無所属で立候補し当選する道を極限まで狭めている選挙における「制限」の大きさこそ「規制緩和」するべきではないか。衆議院議員に選挙区で立候補するには300万円、比例区で600万円の供託金が必要となり、すでに議席のある国会議員が5人以上集まらないと「政党要件」を満たせない。「政党要件」を満たせないと政党候補に比べて圧倒的に不利な制約を強要される。「改革」とは、不当な制約を取り払い、自由な競争と政策論争を保証することだと思うが、そうした議論はまったく聞かれない。

 

それどころか、選挙制度における「改革」とは、少数政党が苦戦しながら議席を確保している「比例区」の「定数削減」だと、多様な意見を政治に反映しないように制約を大きくしようとする動きを正面から批判しないのはおかしい。「1票の格差」で司法から改善が急務とされた参議院選挙の制度改革も、多様の意見を反映出来る選挙制度にすべきだと思う。

 

金沢市長選挙でツイッターで、新人候補陣営が投票呼びかけをしたというニュースが流れている。「投票日当日」の投票依頼の可否については慎重な議論が必要だと思うが、選挙にネットが使えないのは今や日本ぐらいのものだ。私も、参議院選挙を昨年経験したが、選挙が始まって最も有権者に訴えたい時にブログの更新やツイッターが使えないのは、全国比例区に挑戦した者としてはあまりにも大きなハンディだった。結局、紙で印刷したチラシを配るしか伝達方法がないという事態は、明らかに「立法不作為」である。「ネット選挙解禁」をやらないのも、「規制があった方が好都合」という政治家が存在しているからだと指摘出来る。

 

 こうして、国民の間から多様な意見を持つ政治家が選出されることが可能なように「規制緩和」をするのはいいことだが、「保育」「介護」「医療」など生命に関わる分野での規制緩和は、けっして質を高めない。すし詰めの民間保育所に高い保育料を支払っている姿が改革の成果だととても言えないし、介護現場で働く人たちの給料が下がり続けるのはこの制度の基盤を脅かしている。医療機関も経営効率と競争優先にすれば、大都市以外の病院は医師や診療科を大幅に減らしながら閉鎖に追い込まれる。やるべき「規制緩和」とごちゃごちゃにするべきでない。

 

 




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