
4月11日、先週の金曜日に衆議院法務委員会の一般質疑で日本体育大学水泳部・宮嶋武広さん(当時20歳)の死亡事故の問題を取り上げた。そして、今日は100年ぶりの保険法改正の審議で、この事件の「保険金」の扱いに絞って質問を続けた。聞いてみると不思議なことだらけで、昨日まで遺族である宮嶋さんの御両親が学校側や保険会社から説明を受けてきた「見舞金」と言われてきた300万円は、実は「保険金」だったという。ミステリーまがいの経過をたどってみると、説明のつかない矛盾が浮かび上がってきた。
4月12日どこどこ日記 日本体育大学水泳部宮嶋武広さんの「事故死」をめぐって<
4月16日どこどこ日記(会議録)
中国・昆明での水泳訓練中の死亡事故が起きたのは、2006年3月25日のことだった。それから、どういう経過をたどったのか。実は4月13日、大阪で御両親に経過を詳しく聞いた。保険の話が出たのはこの年の6月だった。
日体大の学生課から宮嶋宅に電話があった。「保険金はゼロですが、頼みこんで気持ちとして300万円を出させてもらう。それでいいですか」。父親、猛さんは、「それは大学側が学生にかけている保険なので、私どもが答える問題でない」と返事。約半年後の11月、母まり子さんが保険会社の担当者に電話を入れると、同様の説明があったという。「(日体大)学生課のMさんに、『長いつきあいなので』と頼まれて、上司に相談したところ『この御時世なので300万だったら出せる』との返事でこの金額になった」(保険会社担当者)
2007年3月、事故から1年後。母、まり子さんは保険会社の担当者に会う。「外的要因の事故に対して出る保険なんです。宮嶋武広に対してはゼロです。日体大Mさんに頼まれて出した金額です」との説明。そして直後に、留守番電話に「振り込みます」との連絡があった。ところが、1カ月経過しても振込がないので確認すると、保険会社の担当者は「うっかりしていた」とのこと。
そして、同年4月24日に母まり子さん名義の武大さん関係の支払いを行ってきた通帳に振込があったが、日常的に使わなくなっていたために振込みに気づいたのは、
2008年の2月だった。保険会社からの支払い通知はなかったという。通帳には「保険金300万円」の記載があった。保険金はゼロのはずではなかったのか。
08年2月14日、母まり子さんは保険会社の窓口を訪ねた。2年前からやりとりをしている担当者の説明を録音されているので、ここに再現しておく。
「あくまでも本当に『墓石代でもナントカしてやってくれないのか』という当時のM課長さんに頼まれて、その熱意が非常にこもっているなと私は感じましたもので、原因が特に健康な方と言っておっしゃったんですけど、心臓発作、病気が先行すると保険金の対象外になるんですが、それも黒ではなくグレーの状態ですので、保険会社の気持ちとして出させていただいた、それに尽きます」(保険会社担当者)
そして、先週の11日文部科学省も私の質問に対してこう答弁している。
〇保坂 それで、私、非常に不思議なことをきのう聞いたんですよ。つまり、事故であるとクラブ活動中の補償もあるんです、この保険には。しかし、病死だと支払いはゼロである。ところが、これを大学側がかけ合って、保険会社に特別の計らいでお見舞金として三百万を出していただいた、そして保険金という名目で振り込んでいる。そういうことはあり得るんでしょうか。つまり、形は病死、だけれども、本来これは事故で保険が出ていれば一千万ですよ。どうも釈然としない。そして、振り込みましたよという連絡も大学はしてこなかったという話なんですが、いかがですか。
この文科省所管法人のもとで、全国の学生にいろいろなことがあっちゃいかぬということで、団体保険で運営されているでしょう。特別の計らいとか、お気持ちでというお見舞金も出る保険なんですか。
○久保文科省審議官:日本体育大学から聞いたところでございますけれども、大学が学生全員を対象として加入しておりました先生御指摘の学生教育研究災害傷害保険に対しまして大学から保険金の支払い申請をいたしましたが、死亡事由が突然の病死のためだということで、この保険適用はできないということでございました。しかし、大学側の折衝の結果として、御両親に対し、保険金としてではありませんけれども、三百万円の支払いがあったというようなことでございます。
ここで明確に保険金ではないと断言しながら、今日になって「保険金でした」と180度解釈を替えている。その理由は、「日体大が今の今まで『見舞金』だと信じてきたが、よく聞いてみたら保険金だった」というのだ。(今日の久保審議官)
この団体保険は死亡時に1000万円支払われる。300万円は3割にすぎない。保険金であれば、なぜこのような算定をしたのか。さらには、大学と保険会社が受取人である遺族をさしおいてその同意もなく「示談」で金額を決定したということなのか疑問が残る。一方、保険金がゼロで「見舞金300万円」であればいくばくかの「気持ち」が表現されたという解釈もありえるだろう。保険会社と大学は「病死=保険支払いゼロ」という結論を維持することで、支払い責任と監督責任を免れることが出来る。利害を同一とする者同士が保険金を減額させ、300万円支払ったとすれば、「気持ち」どころの話ではない。
「見舞金」は「保険金」だった。私が国会質問して、初めて明かされた「説明」は真実を語っているのか。虚偽説明を糊塗するための言い訳なのか、ますます謎が深まった。

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