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全国で「タイガーマスク旋風」が拡大している。児童養護施設に届けられるのはランドセルだけではなくて、玩具・文房具や現金・商品券などにも広がった。一昨日、「『タイガーマスク』を児童養護施設改善のチャンスへ」という記事を書いたら、多くの人からの反響をいただいた。何はともあれ、児童養護施設の実態に関心が集まったことをチャンスにして、なかなか進まなかった施設・制度の改善に結びつけていくべきというのが私の考えだ。

 2000年に超党派の議員立法で制定した児童虐待防止法は、各党の国会議員がそれぞれ力を出し合って議論し、協力してつくりあげた法律だ。「3年ごとに見直し」という条項があり、私自身も「2003年」「2006年」と同法の見直しに関わってきた。その議論の時に10年越しで話題になってきたのが、親から分離されて子どもたちが育つ児童養護施設の施設面の改善、そして18歳(高校卒業時)に施設を出なければならないことにともなう「進学・就職」のハードルの高さだ。

 まず、国会と厚生労働省に求めたいのは、緊急実態調査だ。国民の間に支援への関心が高まっている児童養護施設は、どんな課題を抱えているのか。資金経営面・制度運用面の実態を聞き取り、どのような支援が有用なのかを示してもらいたい。また、日々寝起きしている子どもたちの居室と学習環境も施設によってバラつきがある。私がかつて見てきた施設では、「3畳に2人の高校生が寝起き」しているケースもあり、「昭和20年代につくられた施設設置基準通り」という説明だった。一方、昨年見た施設では個室化が進んでいた。また、10畳に8人程度の小学生がざこ寝している施設には、学習机が3人にひとつしか与えられていなかった。これでは、「毎日が林間学校」になりやすいし、落ち着いて勉強するのも困難になる。学習面では、最近広がってきた「学習支援ボランティア」の支援体制はどこまで進んでいるのかについてのデータもほしい。

 もうひとつ、重要なのは「18歳・高校卒業後」の進路保障だ。ただでさえ、不況が深刻化し若者の雇用条件は悪くなっている。アパートを借りて家賃を支払い生活をスタートさせると言っても、「敷金・礼金」などのまとまったお金が準備出来ないので、「住み込み」「寮完備」を条件に仕事を探していくことが大変な作業となる。「せめて運転免許ぐらいはとらせてやりたいが」というのが施設職員の声だったが、18歳を過ぎて社会に踏み出していく時に生活・精神面のバックアップが出来る「若者の家」(グループホーム)も必要だろう。いくつか出来て活動しているとも聞くが、どのぐらいの数で実態はどうなのか。

 さらに「進学希望」の場合は、ハードルが高い。私が東京都内の施設職員から聞いた話では、進学しようとする子は高校時代にアルバイトに力を入れてお金を貯める。そして、いくつか存在する「給付型奨学金」(返済の必要がない)へ申請し、アルバイトを続けながら大学や専門学校に通うという。幸い、都心の児童養護施設の周辺では高校生がアルバイトをするところはたくさんあるが、地方の山間部などにある施設に居住する場合、ほとんどアルバイト先が見つからない場合も多い。「進学支援」の政策としては、大学・専門学校卒業まで居住出来る「若者の家」が整備され、全額給付型の奨学金かあるいは学費免除で支援する必要があるが、もしこれを実現しようとすると予算面でいくら増額しなければならないのか。

 児童養護施設間の格差も著しい。経営母体がしっかりあって運営されている施設と、ぎりぎりの財政でなんとか存続している施設とでは居室も、子どもへのケア体制も違いが出てくるのはやむをえない。この「格差是正」をどうすればいいのか。子どもの現在と未来に有用な支援とは一体何なのか。まずは、国会と厚生労働省に緊急実態調査を行なって、支援に関心を持つ人が継続的なおかつ有効な分野を後押しすることが出来るようにしてほしいと思う。

 その上で、心ある人たちが支援を寄せるだけではなくて、国・厚生労働省がより効果的に児童養護施設の改善に踏み切ることを後押しする動きまで出来てくれば、この国の政治は死んでいないということが証明されるはずだ。



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