下北沢地域の「再開発」をめぐる住民参加の催しが来る12日に開催される。もともと、東北沢・世田谷代田間の小田急線の地下化される2・2キロの跡地の再利用については、区民からアイデアを募る検討委員会の実施を経て、私の就任前の昨年2月に区で素案をまとめていた。そして、直後に「3・11」が発生して区長選挙もあった。この跡地の再利用について、もっと「防災」機能を強化し」緑の回廊」とするために抜本的に見直したいと考えて昨年秋にワークショップを行ったり、小田急線の地下化される将来の線路部分を歩いて話し合ったりする街歩きワークショップ等を実施した。
12月には民間団体のひとつ「下北沢グリーンライン」の主催するシンポジウムがあって、専門家や地域の代表の人たちが活発な意見交換をした。また、今年になってからはグリーンラインによる企画募集があり、それぞれのグループが大変ユニークな企画を提出、いくつもの案を総合する形でプレゼンテーションがなされた。この半年間、多くの人たちの気持ちが重なったのは「防災のための基盤的機能」を持たせたいということと、「緑が多く、ゆっくり歩けてくつろぐことができる空間」を欲しているということだった。
今度基調講演をしてもらう涌井雅之さんは、緑に関するシンポジウムの後でお会いした。TBSのサンデーモーニングでは、コメンテーターで出演している涌井史郎さんで知られている。開口一番、「ニューヨークにハイラインという貨物線の線路跡地の高架を公園にして大成功している場所があるのを知っていますか」と言われた。このハイラインは、「下北沢グリーンライン」の代表をつとめる高橋ユリカさんが現地で取材をしてくれた写真や図をもとに、いかに画期的であるかを何度となく聞いてきたからもちろん知っていた。
大きな価値軸の転換が起きている。「3・11」の大災害は、その転換を決定的にした。都心に誕生する小田急線跡地2・2キロを、「3・11から変わった日本」を発信するいい機会に出来れば、反響は限りなく大きいという話で意気投合した。2月12日には、まず基調講演で世界で起きている街づくりの転換と大きな枠組みについてお話をしてもらおうと思っている。
小田急線の工事も進んでおり、12日のシンポジウムの後で区の新たな案をまとめていく作業に入ろうと思っている。下北沢の街づくりについては「再開発」のあり方をめぐって厳しい意見の対立があった。この「跡地再利用」については、かつての経過にこだわらずに大きな一致事項をつくり、合意と協働の成果を着実に形にしていきたい。
地元商店街からも「防災」と「環境」に配慮した空間を整備することによりいっそうの努力をという声があがっている。「3・11」を経て、「防災の環境は二の次でいい」という意見はどこからも出ない。また、住宅密集地を首都圏直下型地震対策で延焼防止のために緊急対策をしなければならない時に、2・2キロの跡地を活用することは合理的だとも思う。
ただし、道は平坦ではない。「跡地再利用」がどのような中身で決まるのかどうか重要な時期を迎えていることを区民に周知し、関心を喚起する場として今回のシンポジウムを位置づけている。
[小田急線上部利用通信・号外 シンポジウムを開催します]
区では、小田急線の線路跡地の利用計画として昨年2月に小田急線上部利用計画(区案)をまとめました。しかしながら、3月に発生した東日本大震災の経験から区案の追加修正を検討するため、オープンハウスやまち歩きワークショップなどで皆様のご意見を伺ったところです。今回は、学識者や地域のまちづくりに活躍されている方々を招き意見交換会を行ないます。あわせて、かまどベンチ等の防災用品の展示(18:00~21:00)も行いますので、ご来場をお待ちしております。
《プログラム》
区長挨拶
基調講演
涌井 史郎(雅之)氏(東京都市大学教授)
上部利用計画の検討経過
パネルディスカッション
《パネリスト》
保坂 展人 (世田谷区長)
涌井 史郎(雅之)氏 (東京都市大学教授)
小林 正美氏 (明治大学教授)
柴田 真希氏 (NPO 法人まちこらぼ理事長)
玉利 久江氏 (北沢2 丁目協和会会長)
柏 雅康氏 (しもきた商店街振興組合理事長)
《日時・場所など》
日 時 4月12日
19時~(18時30分開場)
場 所 北沢タウンホール12階スカイサロン(入場無料)
人 数 80名(先着)
申込方法 せたがやコールで事前申込(申込に必要な事項:お名前、ご住所、ご連絡先)申込み先 せたがやコール 電 話:03―5432-3333
FAX:03―5432―3100
申込期間 平成24年4月2日(月)から平成24年4月11日(水)まで
受付時間 8時から21時まで 年中無休
