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住友不動産→郵政、人知れず「50億円の商談」の謎
かんぽの宿・郵政民営化
/
2009年06月15日
午前10時、東京都豊島区にある旧かんぽヘルスプラザ(東京簡易保険総合検診センター)を、野党3党でつくる「かんぽの宿疑惑追及チーム」で調査・視察に赴いた。民主党からは座長の原口一博議員、不動産のプロでもある松野頼久議員、厳しくかんぽの宿を追及した川内博史議員、武内則男参議院議員、国民新党からは亀井久興幹事長、自見庄三郎政審会長(元郵政大臣)、長谷川憲正副幹事長、そして社民党から私が参加した。また、社民党の豊島区議会議員・山口菊子さんも駆け付けた。先週末、日本郵政の担当者とやりとりしたところによれば、「住友不動産のOKが出ないので国会議員の皆さんに中に入ってもらうことは難しいんです」ということだったが、現場に行くと「話がついた」とやらで、すでに閉鎖されて約2年経過した真っ暗な建物の中をテレビカメラ8~9台のクルーのライトを頼りに視察に入ることにした。
さすがに2年間、外界の空気が入っていないせいかホコリっぽい。ここは、15年前の平成6年(1994年)に竣工した施設で、郵政公社時代の平成19年(2007年)に閉鎖されるまで、たった13年しか使われなかった。簡易保険加入者の資金で建てた「人間ドック」「診療所」などが入っていて、宿泊設備、宴会場などがある地下3階、地上7階の建物である。
この東池袋の土地の「信託」及び、「信託受益権」の譲渡についての第一報は、未確認情報としてある人からもたらされたものだ。「一握りの幹部しか知らない形で取引が行われているのはおかしい」との声を受けて、私が日本郵政の担当者を呼んで聞くと、「よくお判りになりましたね」と驚かれた。この「信託」の話は事実だったのだ。何年か前に「信託法改正」というややこしい法律に向き合った体験からすぐに理解出来たのは、「旧かんぽヘルスプラザ」という郵政の土地・建物を「信託」したのは三菱UFJ信託銀行で、信託したのは郵便局会社。ただし、この建物を解体し、建て替えて共同開発するとして、信託受益権の7割を50億円で住友不動産に譲渡したということだった。残り3割は、郵便局会社が持っているが、開発が終了したら手放すということになっている。
かんぽの宿一括譲渡契約では「一般競争入札」を装った表示をしていたことが問題となった。ところが、この「かんぽヘルスプラザ東京」は情報非開示で、真っ暗な闇の中で進行していた不動産売買だ。しかも、プレスリリースもなし、国会であんなに激しく日本郵政グループの不動産事業が問題となりながら、日本郵政自らがこの案件を公開することもなかった。今日の視察で明らかになってきたのは、4月28日、総務省に「郵便局会社の重要な財産の譲渡の認可」を届け出た時、すでに
「住友不動産に内定」していたということだった。そして、8月8日に信託手続きの直後に信託受益権の変更をして、100%郵便局会社が所有していた信託受益権の7割を住友不動産に売り渡したということだ。対価の50億円はこの時に支払われた。
もうひとつ重要な点は、そもそも「かんぽヘルスプラザ」はその名も示す通りの簡易保険関係の福祉施設だったということで、「ラフレさいたま」や「世田谷レクセンター」と一緒に日本郵政が直接承継・管理するのが自然だった。だが、なぜかオリックスアルファーが安値で買い取った沖縄新都心のメルパルク建設予定地とともに、この施設は「郵便局会社(日本郵政ではない)」に承継された。「最初から不動産価値があり、効果的に売却していきたいと考えておりました」と日本郵政の担当者は言うが、そもそも長期的に計画されてきたことが今、明るみに出ているということではないだろうか。
上記のようなスキームで、計画は進展していくはずで、今はこの絵で見ると第2段階。この土地が都市再生法に基づく指定を受けるかどうかを待っているので、建物の取り壊しなどは行われていない。「かんぽの宿」問題以外でも、首を傾げるような不透明な取引が存在し、国民共有の財産が国会にも、メディアにも、何の説明もなく処分されていく。はたして、この取引が日本郵政グループにとってどのぐらいの利益をもたらすのか。損失リスクはすべて回避しているのかの検証も必要だ。
野党が旧かんぽ施設を視察 社民など都内で
社民党の保坂展人衆院議員は15日午前、民主党、国民新党の議員とともに、日本郵政グループが所有していた旧東京簡易保険総合健診センター(旧かんぽヘルスプラザ東京、東京都豊島区)の土地や建物を視察した。
宴会場や宿泊施設として使われていた旧かんぽヘルスプラザ東京は、2007年7月に営業を終了。資産を継承した郵便局会社が、08年8月に住友不動産に信託受益権という形で50億円で売却した。これに対し保坂議員は日本郵政が宿泊保養施設「かんぽの宿」を一括売却しようとした金額と比べて高いと指摘、国会で「住友不動産との癒着ではないか」と追及していた。
野党3党は、かんぽの宿売却問題にからみ日本郵政の西川善文社長が特別背任未遂などの罪に当たるとして、西川社長に対する告発状を東京地検に提出している。
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どこどこ日記の参考記事
ヘルスプラザ東京は住友不動産へ受益権譲渡されていた
かんぽヘルスプラザ東京はなぜ信託されたのか(議事録)
以下、資料を掲げておく。
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