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 都庁の一角に都議会議事堂がある。中庭を歩いていくと、何やら2階に行列が見える。なんと、「マンガ・アニメの世界で『非実在青少年』が登場する性表現を含む作品を対象」とする「青少年健全育成条例」が都議会総務委員会で採決寸前だとして緊急に開かれた集会に集まってきた人々の姿だった。午後2時過ぎから東京都議会2階の会議室で「2010年3月15日東京都による青少年健全育成条例改正案と『非実在青少年』規制を考える」(主催・青少年健全育成条例を考える会 代表・藤本由香里)が開催された。

 会場の椅子はたちまち足りなくなり、立ち見で参加する人がびっしりと詰めかけた。進行役の山口貴士弁護士から「昨年の総選挙で落選したが、この問題で頑張ってくれた保坂さんが会場に来ているので」と突然の紹介があり、何の準備もないままに挨拶。「法律や条例がまったく知られずに議論され、一般の人たちに知られるのは、採決の直前ということは、これまであった。大勢の人たちが今日集まり、表現の現場にいる先生方も声をあげたことで、社会的に問題提起することが力になる。特に、二次元創作物(マンガ・アニメ)にかかわる規制については、国会での「児童ポルノ禁止法」の論議でも「対象外」としている事柄。国会の議論は棚上げして東京都が条例で突っ走るのはおかしい」と発言した。

 里中満智子さん(マンガ家)は、「これだけたくさんの人が集まってくれて嬉しい。かつて「有害図書問題」などがあった。マンガは叩かれやすいのか、何かにつけて叩かれてきました。個々の作者は、覚悟をもって書いています。どの場合も「子どものために、青少年の健全育成のために」というと、世論がつくられてしまうが、「非実在青少年」という概念に違和感を覚える」

「かつて、わが国において「思想・信条の自由」が規制された時代があった。その結果、どんな時代にあったのか、考えてみなければならない。こういうことを言うのは、私の自由であり、覚悟です」

「東京には、ほとんどの出版社がある。だから、条例は、一地方の問題ではありません。かつて『太陽の季節』を書いた人が石原慎太郎さんです。この規制の対象から小説が外れているのは何だろうと思ってしまう。あの行儀の悪い、過激な小説が、当時の若者にどれだけ影響を与えたことか」と発言した。

竹宮惠子さん(マンガ家・京都精華大学漫画学部学部長)
さそうあきらさん(マンガ家・京都精華大学準教授)
斉藤なずなさん(マンガ家・京都精華大学準教授)
おがわさとしさん(マンガ家・京都精華大学講師)

と京都精華大学の人々の発言が続いた。

永井豪さん(マンガ家・文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員)は、次のように話した。
 
「この条例があったら、『ハレンチ学園』が世に出ることはなかった。所持しているだけでもダメというので、危険な法案だと感じる。日本のマンガ・・アニメが発展したのは、規制が少なくて自由にかけるということが大きい。隣の韓国では、早い時期に規制が出来上がったことで、発展が遅れてしまった」

呉智英さん(日本マンガ学会会長)は、

「この話を聞いて危険な兆候だと思った。論点はふたつ。法律論としては、行政や司法が「一般の社会」に介入していいかどうか。国や行政が、いい作品について多くの人に推薦したり、奨励することはあっていい。だが、「これは書くな」「出すことはまかりならない」ということは警戒をしなければならない」

「文明論、文化論。これまでの社会で、「これはいけない、あれはいけない」ということを決めて、社会は成立している。ところが、文化や芸術の分野には、「暗いもの」や「ネガティブ」なものもある。だからダメということにはならない」と語った。

 以上は、話を聞きながらのメモなので、発言の要旨を私なりにまとめたものです。おそらく、主催者によって正確な発言内容が記録されると思うので、間違っていたら御指摘下さい。十分にまとめていないが、明日の『ニコニコ生放送』ではしっかり問題点を指摘していきたい。

 主催者の藤本由香里さんは、熱く語った。

「私も初めて『非実在青少年』と聞いた時に、本気にしなかった。どうせネタじゃないかと思っていた。ところが、半信半疑で調べてみると、どうも18日には都議会で通るらしいということが分かってきた。先日、宮台真司さんに会って話したら「これ、都議会で通りますよ」と言われた。このままの状況なら、採決され可決してしまうということだとわかった。私の知り合いの新聞記者にも聞いたが、知っている人はひとりだけ。ほとんどの人は知らなかった」

「私たちは表現の自由がなかった『戦前の社会』を知っている。世界の中で、表現の自由が脅かされるとどんな社会になっていくのかを日本人は一番知っているはず。「悪い感情を抱き止める力」がマンガにはある。表現規制が厳しい韓国では、10代の性犯罪がダントツに多い。次にアメリカ、そして日本は少ない。規制が強化された国ほど、実際の性犯罪が増えるということもある」

 残念ながら、ここで退席しなければならなくなってしまった。大きな力に成長し、都議会の議論を動かしていくことを期待したい。まとまって紹介している記事を見つけたので、リンクをしておく。

→「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感



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