TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




政治的執念をかけて追及してきた「年金記録・旧台帳問題」がジワジワと表に出つつある。11月22日、29日と続けて衆議院厚生労働委員会で舛添厚生労働大臣と坂野社会保険庁長官を追及したし、12月2日には参議院厚生労働委員会で福島みずほ党首がさらに追及した。写真週刊誌『フラッシュ』には、全国の社会保険事務所から出張してきた職員たちがマイクロバスでワンビシ・アーカイブズに通う姿も掲載された。厚生労働省・社会保険庁がひた隠す「旧台帳」(現在、70歳以上の人々の昭和32年までの厚生年金台帳のこと、原簿とも呼ぶ)が次第にクローズアップされてきた。昨日の毎日新聞社会面に「年金記録・原簿ごと消える」という記事が掲載された。現在のところ、大手メディアの中では一歩先んじた同紙だが、記事の一部に不正確な部分が見られるので、全文紹介した後でコメントしたい。

「年金記録」原簿消える、焼失で「統合」困難に(毎日新聞12月8日)
オンライン化されていない約1430万件の宙に浮いた年金記録の中に「原簿ごと消えた年金記録」があることが分かった。火災など不測の事態で原簿が消失したケースだ。総務省年金記録確認第三者委員会に申し立て、記録が訂正された人は極めて少ない。

 社会保険庁はこれまで「マイクロフィルムなどの原簿をたどれば統合できる」と説明してきたが、原簿ごと消えたり、マイクロが判読不能だった場合は、宙に浮いた年金記録を統合することは困難が予想される。

 社保庁は、厚生年金制度を開始した1942年から54年までに脱退した人の約1430万件はマイクロに転写し、80年代のオンライン化の際には入力せず、紙台帳は廃棄した。古い記録で支給に結び付かないと判断したためだ。多くは基礎年金番号がなく、問題化しているオンライン化された約5000万件の記録漏れとは別に、宙に浮いた状態になっている。67歳以上が該当し、生存していて納付が確認されればいずれも受給資格者だ。

 総務省年金記録問題検証委員会のサンプル調査で、死亡など支給に結びつかない記録は16.3%だけで、納付者が生存し受給漏れの可能性の高い記録が4.1%あった。

 しかし、戦前・戦後の混乱や火災などで原簿も原本となる被保険者名簿も消失したり、マイクロが判読不能だった場合は、納付者の確認は困難になる。【野倉恵】


◇戦時徴用、会社の届で証明

 東京都荒川区に住む藤沢勇さん(80)は、62年前の会社の記録で記録が訂正されたまれなケースだ。藤沢さんは17歳だった44年11月に実家の群馬から徴用され、45年10月まで北海道赤平町(現赤平市)の住友鉱業(現・住友石炭鉱業)の炭鉱で働いた。戦後は警察やメーカーに勤務し、87年に受給を申請した。

 だが徴用時代の記録がなく、地元の社保事務所を3度訪ね、北海道の社保事務所にも電話で問い合わせたが「ない」と繰り返された。今年7月、第三者委員会に申し立てた。藤沢さんの問い合わせで、住友石炭鉱業に62~63年前に役所に提出した資格取得届や資格喪失届が残っていたことが分かり、資格喪失原因欄に「徴用解除ノタメ」と記されていた。これが加入と納付の証明資料となり、社保庁が10月、記録を訂正した。

 社保庁年金保険課は、45年11月に台帳や被保険者名簿を保管していた北海道庁で火事があり、記録が焼失したらしいと説明。同課は「同僚の記録など他の記録も火災で焼けた可能性はある」と他にも原簿ごと消えた年金記録がある可能性を示唆した。また、劣化が激しく判読不能なマイクロもあるといい、統合作業の壁になりそうだ。

 藤沢さんは「父を亡くし、母を看病しながら勤める中『行かなければ逮捕』と徴用された。国の命令で死ぬ思いで働いた事実を消されたくなかった」と話している。【野倉恵】

(引用終わり)

夏の「年金記録」騒動のピークから5か月経った時点で、しっかりと紙面をさいて同紙が年金記録問題を報道した姿勢を高く評価したい。その上でこの問題に関心を持っている人たちに対して、いくつかの点を指摘しておきたい。

「原簿ごと消えた記録」が確認されたということが、この記事の核心になっている。その理由として「紙台帳やマイクロフィルムが焼失するなどした」と書かれているが、私は「紙台帳が燃えた」という事例は聞いているが、「マイクロフィルムが燃えた」という事例は聞いたことがない。「戦災や火事で焼失したのは、昭和17年に発足した労働者年金保険(後に厚生年金)の原簿=紙台帳であって、マイクロフィルム化したのはずっと後のことだ。

この記事には、「マイクロフィルム1430万件」については説明されているが、マイクロフィルム化せずに「原簿=紙台帳」を保存し磁気データ化したと言われる「1365万件」についての言及がない。火災で焼失した紙台帳が1430万件のマイクロフィルムに収録されるべき記録は昭和32年現在で「喪失台帳」(厚生年金保険に加入したものの脱退し、再加入していない)のもので、1365万件の紙台帳は「現存台帳」(厚生年金保険に加入中、一時脱退しても再加入した人の記録)というふたつの大きなジャンルに分割される。

 例えば、昭和20年代に火災で焼失した台帳が紙台帳だったことは明白だとしても、その人の記録が昭和32年まで脱退することなく継続していけば1365万件の紙台帳、昭和32年までに脱退し再加入がなければマイクロフィルム1430万件となるのである。だから、火災で焼失した記録が「マイクロフィルムに収録されていない」ということに加えて、「紙台帳1365万件としても保存されていない」と加えた方が正確ではないか。

藤沢勇さんの記録訂正にかかる物語は、画期的な事例で全国紙で報道されたのは初めてだろう。藤沢さんは第三者委員会に申請したもののなしのつぶてで、返事がなかった。自ら取得した住友石炭鉱業の昭和19年当時の記録が見つかって年金記録が訂正されるということになった時に、社会保険庁からは「第三者委員会への申請取り下げ」の用紙を受け取った藤沢さんは、即時取り下げている。藤沢さんのようなケースでは「第三者委員会」も機能していないというのが実態だ。

藤沢さんの記録回復について、経過は詳細にここに報告している。






コメント ( 0 ) | Trackback ( 7 )



« 徳島刑務所の... 八ッ場ダム視... »
 
「NOVA」を叩く資格 (喜八ログ)
ちょっと古い話題ですが、経営破綻した英会話学校「NOVA」について… そもそも「NOVA」を叩く資格が「新聞テレビ」にあったのでしょうか?
 
 
 
国際社会も日本の死刑を批判 (天下の大悪法・裁判員制度徹底糾弾!!高野善通の雑記帳)
(参考記事・辺境通信氏ブログ記事) さて、昨日私は死刑制度について「消極的賛成」の立場であるというエントリーをしました。ただ、世界的には死刑廃止が潮流となっており、先月には国連委員会で死刑停止を求め...
 
 
 
コメント欄を見守りつつ・・ (お玉おばさんでもわかる 政治のお話)
お玉な記事のコメント欄が一段と盛上がってます・・でもいいっぱなし一行コメントは削除してますよ・・書く限りは責任ある大人の文章で挑んでください。「軍の強制」明記 みゆき...
 
 
 
私鉄総連ストライキはどうなったのか? (アッテンボローの雑記帳)
 今日は非正規雇用労働者の正規採用などを要求した私鉄総連の半日ストが予定されてい
 
 
 
人権擁護法案の再燃化! (現政権に「ノー」!!!)
人権擁護法案提出の動き再燃 法相が強い意欲 過去に自民党内の反対を受けて頓挫した人権擁護法案を、来年の通常国会に提出しようとする動きが政府・与党内で再燃している。鳩山邦夫法相が国会答弁で再提出への強い意欲を表明したためだ。しかし、2年前には人権侵害の...
 
 
 
【昨日の続き】弱者が何故自民党を支持するのか? (「猫の教室」 平和のために小さな声を集めよう)
昨日の記事の続きです。 要するに、コイズミ改革とやらで、「痛み」を押し付けられ、生活が苦しくなっているにも拘わらず、依然、保守・自民党や、右翼思想を支持している人々が多いことへの危惧です。 先の参院選では、農村部を中心に、地方一人区で、自民党が惨敗し...
 
 
 
年金統合2割困難! 公約に黄信号!! (午後のひととき)
{/new_color/}    今日の天気 {/fine_face/} / {/cloud_face/}  社会保険庁は10日、基礎年金番号に未統合で宙に浮いた年金記録約5000万件のうち、18・5%にあたる約945万件が、手書き台帳と照合したとしても統合が難しい記録であるとの調査結果...