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  3月1日、世田谷区長定例記者会見を行い、PPS導入や自然エネルギーの活用への道を広げることについて、次のように述べました。会見の記録は後ほどHPに掲載されますが、この部分だけ会見草稿をアップしておきます。

 

  さる228日、世田谷区施設の111カ所(区庁舎・区民会館・学校等)の電力購入に関する競争入札を実施しました。その結果、2社が応札し株式会社エネットが76百万円で落札しました。

 昨年度の東京電力に支払った電気料は67千万円でしたから、すでに発表されている17%の値上げを想定すると75千万円になります。その場合に、東京電力以外のPPS(特定規模電気事業者)に決定したことで生まれる効果額は4400万円となります。

 

 123日に「競争入札の実施」方針を表明した時には、1億円を超える効果額を想定していたが、それよりは少なくなりました。これは、「東京電力の値上げとPPS導入」が話題となり、需要が一気に増大した影響が出てきているものと思われる。多くの企業や自治体が導入を決めようとしていて、供給力不足が明らかになっています。

 

  大口契約の電力購入は「自由化市場」と呼ばれます。ただし、市場占有率34%では、規模が小さすぎて本来の意味での「自由化市場」とは言えません。すでにPPS事業者の中で経営難等で10社近く撤退しているとのことですが、今回の事態で大口契約において十分な市場があることは証明されたのではないかと思います。また、本来であれば9電力会社も営業エリアを超えて取り引きすることも制度上は可能となっていますが、現在はたった1例しかありません。東京都が中部電力から購入することは打診したのは当然ですが、これも実現していないのは「自由化市場」ではなく、「地域独占市場」が本質的に続いているのではないでしょうか。

 

 216日に経済産業省・資源エネルギー庁と、枝野幸男経済産業大臣を訪ねました。世田谷区が「電力購入の競争入札」を発表してから反響が大きく、区民からは「個人宅でも選べないのか」という声もあったからです。枝野大臣には2点の要請をしました。

  ひとつは、電力市場の自由化を前倒しに進めて、大口契約(高圧受電施設(に限らず、個人宅も含めて市場開放を急いでほしいということです。さらに、その前の段階で、現行制度を柔軟に適用し「個人住宅や集合住宅でのグルーピング」を進めてほしいとの求めをしました。

 もうひとつは、再生可能エネルギーを普及させていくために、被災地支援とも関係してコスト面のメリットを与えるなどのサポートを強め、今後の再生可能エネルギーの普及拡大のために、「発送電分離」を進めて「系統改革」を進めてほしいという要望です。

 枝野大臣からは、「世田谷区の取組みにより、PPSの存在や電力市場自由化について全国的に知れ渡り、強い関心が出てきたことに感謝したい」との言葉の後に、「現在はすべての消費者が電力を選ぶことは出来ないが、出来るだけ早急に具体的な制度設計がしたい。今後の電力改革の中で、何らかの試行を行なう時に連携していきたい」との回答がありました。

 

  就任以来、自然エネルギー導入と拡大について、飯田哲也さんら専門家を交えて、私自身も勉強をしてきました。その最重要のポイントは「系統改革」であることを改めて認識しています。いくら太陽光や風力、地熱の発電をしても、送電線に流すことが出来なければ普及拡大にはつながりません。発電・送電・配電を一社が地域独占で行なっている現状では、自然エネルギーの拡大が困難であることは、世界の趨勢に日本が大きく立ち遅れていることをもってみても証明されています。

   また、同じ電力を使うにも質のいいものを使いたいという人々がいます。今回の重大事故を起こした原発や、化石燃料に依存した電力に代わって、再生可能なクリーンエネルギーをたとえ電気料金が高くなっても使いたいという人々が、クリーンエネルギーを共同購入しようとしても家庭に引き込まれている電力は東京電力一社独占です。

 

 28日、世田谷区では「自然エネルギー活用促進地域フォーラム」を開催しました。区内の経済団体、企業、金融機関、大学等の多様な立場から30人が熱心な議論をしてくれました。ここで形成したテーブルを中心として、世田谷区内の「地産地消」にむけて太陽光や太陽熱の普及・拡大に取り組んでいけたらと思います。他方で、被災地支援型で遠方でも自然エネルギーを立ち上げでいく動きと連動していくことも大いに模索されるといいと思います。

7月には固定価格買い取り制度が実施されると言われています。

今、区の役割はこの制度実施直前の正確な情報をスピーディーに区民・事業者に提供し、活用促進のための枠組みをつくりあげていくことだと考えています。

 

 210日には、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が来日中の最後の日程に、世田谷区の環境共生住宅を選んでくれました。同行報道陣も含めてバス3台の大視察団でしたが、市長は熱心に住宅を見てまわり、建設当時は最先端だった太陽光利用の街灯、太陽熱給湯、雨水タンク、浸透性の舗装、ビオトープ、自然の風が通り抜ける工夫や、住宅棟ごとを縦横無尽につないでいるコミュニティ通路などをよく見てくれました。今後、8万戸の公共住宅を建設するにあたり参考にしたいとおことでしたので、世田谷区も「過去の遺産」にするのではなく、さらに新たな環境共生への意志を形にしていかなければと思いました。

 

3月1日記者会見の動画記録はこちらです→http://www.ustream.tv/recorded/20795410

 



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