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来年の5月実施予定の「裁判員制度」に多くの国民・市民が不安や懸念を抱いている。そして、不思議なことに3か月も開いている臨時国会では、この裁判員制度についてほとんど議論がされていない。衆議院法務委員会で私は、「国民の間で関心の高い裁判員制度の集中審議をぜひやりましょう」と提案した。「それは大切なテーマだ。ぜひ、やりましょう」と与野党一致した声が出て、(臨時国会で遅きに失したとはいえ)「裁判員制度の集中審議」が行われることになったので、しっかり準備しようと思っていた。しかし、先週開かれた理事会で与党側から「集中審議の後に法務委員会として決議をしたい」という申し出があった。「決議」と聞いて、今後の展開を予測した私はこう述べた。

「私たち社民党は、8月上旬に実施直前になった裁判員制度の実施にあたって被告人の防御権が本当に守りきれるかなど多くの未解決の点があり、議論を尽くすべきだという党の見解をまとめている。だから、『裁判員制度推進決議』のような国会決議には賛同出来ない。このような立場の会派、議員もいることを前提に文案を練るのであればいいけれど、決議に賛同するかどうかは内容による」

そして予想通り、いや予想外の展開となった。与党から示された文案は、やはり「裁判員制度推進」の決議案だった。末尾は、「国民の皆様におかれましても、裁判員制度の意義を理解し,進んで参加していただけるよう呼びかけるものである」という結びである。この内容では到底、賛同するわけにはいかない。言動不一致ということになってしまう。すると、野党筆頭理事から「エッ」と思うことを聞いた。「与党側は、決議が出せなければ集中審議はなしだと言ってきている」つまり、与党作成の文案を変更せずに私が賛成すれば、集中審議をやりましょう。しかし、反対者がいて全会一致の集中審議が出来ないのであれば、集中審議もやらせないというもの。

野党側は「決議がまとまらないからといって集中審議をやらないというのはおかしい」と食い下がったが、与党側は国会対策委員会の判断だから譲れないという姿勢だった。私も国会で集中審議をぜひやりたいと思ってきたので、決議の時に退席しようかなどと一瞬、考えてもみた。しかし、後の世から見て、それでは、筋が通らないということになるだろう。

どんなに私が裁判員制度の問題点や疑問について、法務省や最高裁に問いかけても、最後に「国民の皆様、裁判員制度の意義を理解し、進んで参加して下さい」という決議に一同賛成で起立しなければ、集中審議は開かないというのは議会のあり方としておかしい。国民の多くが強い関心を抱いているテーマだけに、しっかりとした議論が求められている。国会では「議論」のカケラもないというのでは立法府にいる者として恥ずかしい。

午後、社民党と国民新党の意見交換会が開かれた。社民党の見解を説明し、また国民新党が昨年の参議院選挙の公約で「裁判員制度の凍結」を掲げていることを聞いた。それぞれ問題点を出し合い、また法務委員会での集中審議が流れた経過も追加して説明、国会でしっかりした議論をしなければならないと話合った。野党間で、また与野党でも裁判員制度をこのまま実施していいのかどうか、真剣勝負の議論をしなければならないという思いを強くした一日だった。

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