今、NHKニュースで福島第一原発で重大事故が発生したことを報道している。福島第一原発・一号炉で、建屋が骨組みだけが残って外壁が外れている映像が流されている。今に至るまで、国や東京電力からの公式発表はない。爆発と共に大量の放射性物質が出た恐れもあり、最悪の重大事故に至った可能性がある。ただ、これだけの重大事態で、1時間半も記者発表がないのはどういうことだろうか。ニュースも原発の様子だけ生中継ではなく、静止映像というのも不可思議だ。1015マイクロシーベルトという放射線量を1時間で敷地内で観測したと伝えている。ただし、爆発の前だったかもしれず、もっと重大な汚染が起きている可能性がある。
07年7月、中越沖地震の直後で直下型地震に襲われた柏崎・刈羽原発の状況実態調査に向かったことを思い出す。東京電力の情報隠しの体質もひどかったが、地震多発国日本で世界で初めて地震に遭遇した原子力発電所の安全性について、国会でほとんど熱のある議論が行なわれなかったことも思い出す。今回の重大事故がどこまで広がるのか、まったく情報がない状態だが、この緊急事態への対応の後で、根底的な「原発の安全性と地震」の議論を展開する必要がある。
枝野官房長官の記者会見。「福島第一原発で何らかの爆発があり、状況の把握と対応に全力をあげている」と述べた。きちんと対応してもらいたいが、東京電力・原子力安全・保安院・内閣の間でシェアされている客観的情報は、早く公開してほしいと思う。
原子力安全・保安院の記者会見。「3時36分、原子炉建屋とタービン建屋で爆発が生じたと東京電力から連絡があった。現時点では、具体的な情報を得ていない。情報収集して把握したい」→具体的内容に踏み込まず。2時間半経過しているが何もわからないとは。
〔21時30分追記〕
20時30分から始まった菅総理の記者会見に続いて、枝野官房長官から福島第一原発事故についての説明があった。官房長官の説明によると、15時36分にあった爆発で吹き飛んだのは建屋の外壁で格納容器ではない。格納容器は残っている。水素爆発で放射性物質が大量に放出されたものではない。15時29分には1051シーベルトだったが、18時58分には70・5シーベルトと爆発の後には数値は下がっている。原子炉容圧力器を海水で満たすことにした。万が一、再臨界などを起こさないようにほう酸をいれながらやる。これは適切な処置だと判断すると発表。
ニュース映像を見る限り、骨組みだけが残ったように見えていた。格納器が損傷しなかったといういい情報を出すのに、爆発からこの発表までに5時間もかかったのか。あれだけ強い水素爆発で、無数の配管などはどうなったのか。さらに、第2号機の状況はどうなのか。また、福島第2原発はどうなっているのか。現段階で放射性物質が放出されていないという発表には安堵するが、これから原子炉を海水で満たすという困難な作業の成功を祈りたい。