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昨日は裁判員制度の「集中的質疑」を行ったが、入口を議論するだけで「とんで
もないな」と思う話が続々と出てきた。私は、裁判員候補が「警察官に対する信頼」や「死刑」について問われることは、思想・良心の自由を侵害するものだと批判をしてきたが、実はこの「裁判員候補面接」は「過料(30万円)」「罰金(50万円)」の2類型があることは以前から指摘してきたところだ。これを、3月17日の衆議院法務委員会で法務省刑事局長に問うた。質問前に議事録を昨日精査していて、この答弁が重大な危険性を含んでいることに気がつき、追加質問をした。その問題個所をここに紹介する。

[3月17日衆議院法務委員会]

保坂 最高裁判所が、不公平な裁判をするおそれに関する質問のイメージというのを、裁判員の候補者に対する、これは検察官の要求があった場合に、こんなふうに聞くんですかということを例示しているわけですね。

「あなたは、特に警察の捜査を信用できるか」という、すべからくそうですか、あるいは「すべからく信用できませんか」という設問。死刑についてはかなり踏み込んでいるんですね。「あらゆる法定刑を選択できるか」と聞いた後で、今回の事件の裁判で証拠によってどんな事実が明らかになったとしても、「絶対に死刑を選択しないとあなたは決めているんですか」こういうふうに聞いてくるということで、私はかなり思想、信条に踏み込む設問だと思っています。

 そこで、質問は、虚偽陳述の禁止というのが裁判員法上の罰則でついているということは、私は重大だと思っています。ところが、この罰則も、三十万円の過料と五十万円の罰金という二つが立てられている。これはぜひケース・バイ・ケースと言わないでほしいんですが、どうして三十万円の過料と五十万円の罰金というふうに分けられているのか、その趣旨は何なのか、どういう場合に過料でどういう場合に罰金なのか、明快に説明をしていただきたいと思います。

○大野政府参考人 裁判員候補者が裁判員選任手続において虚偽陳述をした場合の制裁に罰金と過料の二つが設けられている、その点についてのお尋ねでありました。

 いずれも、そうした制裁を科する目的といいますのは、裁判員等の選任の適正を図るためであるという点では共通しているわけであります。

 その中で、過料の方でありますけれども、裁判員候補者に課された義務の履行を担保するための、いわば秩序罰としての間接強制手段というように理解されております。当該の裁判所がそうした罰を科することになります。

 これに対しまして罰金の方でありますけれども、これは虚偽陳述を犯罪ととらえるわけでありますが、義務違反の行為がなされた結果、裁判員等の選任が適正になされず、裁判の公正が著しく損なわれるおそれがあるということから、その行為の悪質性に着目して刑事罰を科するわけでありまして、したがいまして、これは起訴の手続を踏むことになるわけであります。

 では、なぜこの二つの手続が別個にあるのかということでありますけれども、それは、それぞれの趣旨を踏まえて判断されることになると思いますけれども、質問手続の継続中に虚偽の陳述であることが明らかな陳述がなされて、正しい陳述を求めるために過料を科すというようなことも考慮されると思います。

 にもかかわらず、その虚偽の陳述を維持し、それが悪質であると考えられ、後日裁判所から告発があったというような場合には、罰金刑を科することも考慮されるというように考えております。罰金と過料、それぞれ、それが適用される場面はやや違うわけでありますけれども、これを併科する、両方その手続をとることは妨げられないというように考えております。

 なお、裁判員選任手続におきます正当な理由のない陳述の拒否につきましては、罰金は科し得ない、過料のみが科されるという点を申し添えます。

[引用終わり]

これはトンデモない答弁だ。例えば裁判員候補の面接で「明らかに虚偽の陳述」を行っている候補(=国民)に対して、裁判所が職権で「過料」を課す。さらに、その候補が「虚偽の陳述を維持」した場合には裁判所の告発を受けて、刑事事件として立件して罰金をを課す。両方やる場合も想定しているということが判明したのだ。

裁判員になりたくないばかりに候補が「被告と私は幼なじみでして、偶然ながら高校でも同級生でした。さらに、職場の取引相手で今回の事件には大変驚いたわけです」という客観的事実に明らかに反することが後の調査によって証明できる「虚偽の陳述」をした場合は過料、「いい加減な話しないで下さい」という裁判長の制止に関わらず語り続けたとすると告発されて逮捕・起訴に至るという規定だ。

あまりにも重いペナルティではないか。官僚は既得権をガードするために国会でも虚偽の陳述を度々している。「30万円」どころか何の罰則もない。嘘をつかれたら多額の税金で運営されている国会審議は成り立たないので弊害は大きいはずだ。ところが、国民が裁判員制度の強制的な呼び出しを受けて、出頭した際に「虚偽の陳述」をすると場合によれば逮捕を覚悟しなさいというのだ。

守秘義務についてもそうだ。アメリカで陪審員として「死刑判決」をした死刑囚の検察側証人の目撃証言が信頼出来るものではないということを控訴審段階で弁護人から聞いて、死刑囚の救援運動に立ちあがった人を紹介し「日本なら出来るのか」と問うた。これは「評議の秘密」を守りながらという条件を守っていればということだが、自分の判断した評議の内容は間違いだった。検察側の証人の証言が決定的な切り札だったと言えば、「守秘義務違反で逮捕」ということになる。「アメリカで出来ることが、なぜ日本で出来ないのか」と聞くと、森法務大臣は「日本はアメリカと違う」と答弁した。時間のある方は、衆議院テレビで見てほしい。


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