新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

議論の流儀

2009年02月10日 07時10分25秒 | コラム・エッセー

 先日区役所で、Iさんと出会った。まったくの偶然であった。ほぼ10年ぶりだった。

 当時の私たちは、異なる会社だったが、それぞれ責任を負わされた立場だった。その責任をまっとうする共通の目的のもと、同じような立場の数人と、幾度も論議を闘わせた。

 Iさんは舌鋒が鋭い論客だった。共通の目的と言っても、会社が異なれば、利害が対立することも多かった。お互いに引いてはいけない立場であった。

 だから激しい議論にもなった。感情的になったこともあった。しかし、最後は意見の統合ができた。

 そのころの私は、立場上、まとめる役割を担わされていた。利害が反する場合も多く、収拾がつきそうもない事態にも陥った。

 しかし幸いなことに、分裂することもなく、なんとなく結論が導き出された。

 各自に少しずつの不満が残ったが、それなりの結論がえられた。不満を分け合ったような気分だった。

 結論が出た当時は、参加者の人柄に負うところが多かったと思っていた。しかし、今の私は、それだけではなかったと思っている。その思いは、ほぼ信念に近い。

 多数決によって決さなかったことが、結論を導き出せた理由の一つだったのではないか。

 不完全な人間同士が、利害を背負って対立していたのだ。少しずつ意見は異なっていた。

 限りある時間の場合は、多数決が能率的な手法のはずだ。文句の言えない手法だ。

 たとえ多数決には馴染まない議論だったとしても、多数決で決めてもよかったはずだった。

 だが私たちは、多数決を避けた。徹底的に議論をした。時間切れを気にしながら、議論を繰り返した。

 その過程で、それぞれが主張する自説の角が、少しずつ落とされていった。他の人たちの主張にも理解が及んだ。

 結果として、予定よりも早く、結論を得ることができた。みんなに少しずつの不満が残ったが、納得できる不満だった。

 不完全な私たちだからこそ、多数決で決めようという意見もある。

 しかし私は、不完全な私たちだからこそ、徹底した話し合いで決する意味もあると思っている。

 そこには時間の感覚が必要だ。時間の限度に共通認識を持てるなら、多数決によらない解決もあるのではなかろうか。

 早く決めたい人と、出来るだけ決めたくない人の議論では、建設的な結果は望めない。

 国民の幸せと国家の安定が共通の目的なら、議論のしようもあるのではないか。

 今の与野党の国会対策に、不毛の論議を感じる。国民をたぶらかすための演技とすら映る。不幸な話だ。

 日本には、小選挙区が馴染まないのかもしれない。

 「和を以て貴しとなす」や「空気を読む」にも、それなりの意味合いがありそうだ。

 別館として、写真俳句ブログの「いのちの囁き」を開いております。

 よろしかったら、そちらへもどうぞ。

 こちらへ → http://hiyodori2.shashin-haiku.jp/

 ランキングに参加しております。

   ↓  ↓

  にほんブログ村 シニア日記ブログへ                                          


             

 

 

 

 

 

コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 薄氷 | トップ | 私の信心 »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 国会中継を見るたび、チイセェ、チイセェと呟い... (太郎ママ)
2009-02-10 08:16:42
 国会中継を見るたび、チイセェ、チイセェと呟いてしまいます。このようなことでいいのだろうか? と、大方の人は思っているのではないでしょうか。 次から次へと汚職まがいの事件は出てくるし、統制がとれていないというか、小手先だけで演じていて、本当にあなた方は日本国民を幸せにしたいと思っているのですか? と問いたいですね。
返信する
ソウですね勉強になります (ひろこーぼ)
2009-02-10 09:22:02
ソウですね勉強になります
ややもすると会議では論議をする事を避けて
多数決や強い人の流れにながされてしまいがちですが
会議では意見を出し合って行くものと思っています
ただそれには共通の目的がぶれないことでしょうね
いいお話を聞きました
ありがとうございます
返信する
おっしゃるとおり早く決めたい与党と、議論を長引... (竜斉)
2009-02-10 11:22:49
おっしゃるとおり早く決めたい与党と、議論を長引かせるのみならず、会議を混乱させて解散に持ち込むことのみを真の目的としている野党、あきれ果てて見るも、聞くも、はらが立ちます。
 1字や2字ではなく数多くの日常使われている漢字の読み方さえも知らない大臣、議員達に普通の見識を期待することは無理なのかも知れません。このような人達を議員に選んだ国民も自業自得かもしれませんね。
返信する
筑波山麓での父方の従兄弟会から只今到着。 (itaQ)
2009-02-10 19:09:38
筑波山麓での父方の従兄弟会から只今到着。
和以貴為は小生入社以来の社是でした。何処までも議論すること、そこで生まれるお互いの思い拘りは、糧になる。意見衝突あってしかるべしでした。
返信する
10人寄れば10人の異なった意見がありますね。 (霧の中の散歩)
2009-02-10 21:20:32
10人寄れば10人の異なった意見がありますね。
また、会社が違うと成ると、当然ですね。
貴方様の、時間のある限り、人の話を聞いて、取り上げて、議論して行こうという態度が、皆さんの信頼を受けられたのだはないでしょうか。
今の政治は、党利党略に終始して、国民の利益、幸福の観点から議論を戦わせようという気もないように感じられます。
先般のブログで言われていました「村山談話」。
インターネットで全文読みました。
国際感覚、歴史観、全くありませんね。
首相になるべきでなかった人がなってしまった。
麻生首相はどうでしょうか。
返信する
太郎ママさん、お早うございます。 (ひよどり)
2009-02-11 06:45:46
太郎ママさん、お早うございます。
自分たちの生き残りだけが判断基準にょうですね。
すべてそこから発しているので、低俗な人間喜劇となっていて、その点、腹が立たなければ面白いです。
税金が悔しい。
返信する
ひろこーぼさん、お早うございます。 (ひよどり)
2009-02-11 06:48:27
ひろこーぼさん、お早うございます。
私はこの頃、「急がば廻れ」と思うことにしております。
結論を出したくても、少し待ちます。
そのほうがいいようですね。
多数決はなるだけとりません。
返信する
竜斉さん、お早うございます。 (ひよどり)
2009-02-11 06:52:16
竜斉さん、お早うございます。
選んだ国民がツケを払わされているような感じですね。
あの麻生さん、次から次と発言で足を引っ張られています。
今さら「郵政改革は反対だった」という必要もなかったし、言えば問題になるのは当然でした。
外交が心配となりますね。
返信する
itaQさん、お早うございます。 (ひよどり)
2009-02-11 06:55:15
itaQさん、お早うございます。
結論を急がないことと、この頃は思っています。
現役時代にもそう思ってはいたのですが、時間がなくて急いだこともありました。
もう急ぎません。
返信する
霧の中の散歩さん、お早うございます。 (ひよどり)
2009-02-11 07:02:24
霧の中の散歩さん、お早うございます。
「村山談話」を読まれましたか。
教条的な思いこみを語ったのですから、国民が哀れです。
弱肉強食時代だったことも背景にあったことも考え、日本人が元気をなくすような談話を発表してほしくありませんでした。
従軍慰安婦に関する「河野官房長官談話」も、実証できなかった風聞をもとにしておりました。
しかし、今は国際的な定説にされてしまいました。
無定見なその場凌ぎの政治のツケを、これからの国民が払わされます。
返信する

コメントを投稿

コラム・エッセー」カテゴリの最新記事