市民の森公園に、マンサクの大樹がある。狭いところにある木なので、全景を撮る気にはなれない。枝振りや花の咲き具合をみて、なんとか折り合いをつけている。
掲げた写真は、昨年1月撮影のもの。今年はまだ行っていないが、その内に面会して来ようと思っている。
70歳もとうに過ぎた今、いつの間にか、自分の中で何かが変わって来ているように思える。
何がなぜ変わったのか、はっきりしていない。
例えばの例だが、小説の好みにも現れている。
私は太宰治が大好きだった。あの繊細な優しさに惹かれた。
今も好きで、時折は読み返しているが、若い頃のように、血道をあげるほどではない。
大衆作家と言われた山本周五郎も好きな一人だ。
大衆作家と言われようが、中間小説と見下されようが、私は読み続けた。やはり、今も愛読書の一つだ。
その同じ作家の作品でも、手に取る本の傾向が変わってきた。
以前は、庶民の日常の哀歓の中の「優しさ物語」に強く惹かれた。
例えば、山本周五郎で言えば、「さぶ」や「おたふく物語」など。
ところが現在の私は、「樅の木は残った」や「ながい坂」に手がいく。
自分をとことん「無」にして、お家の大儀につく主人公の、あの「強い志」に、大喝采を送りたい。
城山三郎の「男子の本懐」は、この頃になって好きになれた。今までは、立身出世物語のようで厭だった。
つまり私の趣味や考えの傾向が、「優しさ」のみに終始する世界から、「立場を生きる強い志」の世界に移ったようなのだ。
方向は少し異なるが、北方謙三や大沢在昌のハードボイルドなど、以前なら手にも取らなかった。
今はこれらも愛読書の中に入っている。
どうやら、「大儀に生きる強さ」を求めているようだ。
残り少ない人生をわが身に感じ、もはや自分ではなし得ないものを、他に求めているのかもしれない。
決して優しさが不必要と言っているわけではない。
優しさは必要とか不必要とかを論ずる以前の、人間が当然備えているべき血肉同様のものだ。
つまり、根底に優しさを十分に備えつつ、大儀に従う「強い志」に生きる生き方に惹かれているのだ。
政治家の世界で言えば、「國をどのように作るか」という「志」に生きてほしいと思う。
官僚の不作為や誤謬には、断固として鉄槌を加える非情さがあっていい。
これは65歳のころからの傾向なのだが、原因は自分でも分からない。
第一線から引退し、「志」が萎えてきたことも理由の一つかも知れない。
第一線時代は、優しさに偏ったつもりもなく、非情な大儀についたつもりもない。
心ならずも襲ってきたアメリカ型大競争時代に巻き込まれ、「会社は誰のものか」などに振り回されながらも、「情」と「理」のバランスを考えながら、闘ってきた自負はある。
もちろん、評価は私がすべきことではない。
いずれにしても、趣味の上でも変化してきている。
老境心理学的にでも、教えて頂きたいとすら思っている。
まさか痴呆の一種ではないでしょうね。
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早く市民の森公園に出かけられるよう 元気になってください
マンサクの花は変わった花びらですね
出かけないのは横着のせいです。
いろいろ理由をくっつけて、チンマリしています。
「あぁ!50歳の大台を過ぎたよ」・・・
「えぇ!60歳!どうしょう?」
私の人生の節目での実感でした
「70歳?」・・7年後どんな実感で迎えるか
不安でもあるが、もう開き直って楽しんでいる予感もします
あっという間の70年ですよ。
そして男性の平均寿命は78~9歳のはずですから、もうすぐあの世への準備です。
73歳で死ぬのと79歳で死ぬのでは、6年がありますが、今まで生きてきた年数を考えれば、短いと言えば短い。
だからと言って、日頃は、生命など考えませんよねえ。
ワタクシメなどは、スッとしたイイオトコが良かったのに、今では馬鈴薯みたいな男が良くなってしまいましたからね。うふふ、シ、失礼しました。
馬鈴薯とはいい表現ですね。
同じモノでも、使う言葉で意味合いが変わってくるから愉快ですね。
私は生き方を変えたい、と猛烈に思い始めたところです。
変える事など出来ないかも知れませんが、
このままではいやだ、という思いです。
年はとりましたが、精神的には17歳の頃の自分が行き続けています。
ひよどりさんの記事を拝見してますますその思いは強くなりました。
まづさくが訛ってマンサクに成ったのでしょうか?またマンサクの枝が建築の材料に使われているらしい。(茅葺屋根等)色々な使いみちが有るのには恐れ入ります。
生き方を変えるってこと、意外に難しいですねよねえ。
私など、この歳になれば、しがらみが色々くっついていて、自分だけでは変えられません。
家庭内の役割が思いほど、周囲が認めてくれませんから。
心の内側から少しずつ、しかも自然に変わって行くものなのではないでしょうか。
のそっとさん、無理をなさらないことですよ。
マンサクは豊年満作の意味だと思っておりましたが、「まずさく」もあったのですか。勉強になりました。
建築材にも使っているとは知りませんでした。
いろいろ教えて頂くと助かります。
私など、きれいなので撮ろう!で終わりです。
これでは進歩がありませんね。