近在で死ぬる覚悟や残る鴨 ひよどり 一平
(きんざいでしぬるかくごやのこるかも)
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前にも書いたことだが、この池の数百羽ほどの鴨は、ほとんどが北方の繁殖地へ戻って行った。
あれほど騒がしかった池が、今はひっそりと静けさを取り戻している。
そんな中で、この鴨のように、仲間たちと一緒に戻らなかった鴨たちがいる。
数羽のグルーから一羽の鴨まで、それぞれがひっそりとしている。
この二羽の鴨は、どんな事情で残っているのだろうか。親子なのか、兄弟なのか、番なのか、事情に疎い私の知る由もない。が、絶えず離れず、他の鴨たちとは交わらず、始終この二羽で動いていた。
どちらかの鴨が病を得ていて、他の一羽が労わって残ったのかも知れない。
身体の大きさから、親子とも思えるのだが・・・。
とてもとても、鴨料理は想像できない。
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