老いるにつれ、ぽんぽんとモノを言ったり、言われたりする機会が少なくなってきた。
みんな大人になって、上手に妥協点を見出しているのかもしれない。
それでも時には、ビックリするようなことを言われることもある。
言われた側ですら、ひどく感心してしまうほどの啖呵を切られたこともあった。
しかし、言う側にとっても言われる側にとっても、決して後味はよくないはずだ。
「いや、ガッツリと言ったんで、すっきりした」と言う人がいたら、お付き合いはご免だ。
生まれて以来、一度も言われたことのない悪口を浴びせられれば、尚更のこと。
もうこの歳になれば、イザコザは真っ平ご免。
それには原因を作らないことが肝腎だ。
万が一そんな事態に陥ったら、詫びを言いながら逃げるの一手しかない。
こちらが悪かったとしても、やっつけられた無念は、なかなか消えるものではない。
まして恥辱は消えぬものなのだ。
枯れ蔦や恥辱は斯くも消えぬのか ひよどり 一平
(かれつたやちじょくはかくもきえぬのか)