司法試験問題漏洩事件の裁判があった。
問題作成に当たっていた教授が、交際関係にあった教え子に、試験問題を教えたという事案だ。
裁判のニュースを見ていて、おかしくなって少しだけ笑った。
「娘に対するような気持ちになり、なんとか助けてあげたいと思った」
その教授の弁である。
まさか此の期に及んで、「私たちは父娘のような関係です」と言い逃れを言っているとは思えない。
当初、教授はそのように思っていたのではないか。
ところが、男と女の場合、そのような感情がそのまま持続するとは限らない。同情は恋慕に突っ走りかねないのだ。
夏目漱石か誰かのジョークに、「可哀想だってことは、惚れたってことだ」というのがあったが、まさにその通り。
一対一の男女関係において、間合いの取り方は難しい。
同情は危なっかしい淵なのだ。