私は整理が大の苦手。きれいに片付けることができない。
しかし、「ゴミ屋敷」のように、ゴミを捨てないわけではない。
モノが乱雑に置かれているのだ。
カミさんに言わせれば、「ゴミを散らかして………」と言うのだが、私の言い分としては、不要なモノを捨てられないでいるのとは異なる。ゴミは捨てているのだ。
少なくても、私はそのように思っている。ゴミはその都度捨てている。
私の部屋を占領しているものは、ほとんどが書籍だ。
カレらには書棚などの本籍地があるのだが、私があえてそこへ戻さないのだ。
急に読みたくなって持ち出して、読み終わっても戻さない。
それを繰りかえしている内に、私の部屋はカレらに占領されてしまうのだ。
そのような状態にあっても、私には書籍の所在をほとんど把握している。
つまり、さしたる混乱はない。整理された混沌とでも言おうか。
困るのは文房具の類い。眼鏡、ケイタイ、時計、サイフなども見失う。
ケイタイをしながら、ケイタイを捜したり、眼鏡を掛けたままで眼鏡を捜したり…。
カミさんは私の部屋には入らない。つまり、治外法権だ。これは都合が良い。
「認知症になったのではないか?」
カミさんは密かに疑っている。
一度は無理矢理、診察を受けさせられた。
「年齢を思わせない明瞭さですよ」 お医者のご仙度があった。
「ゴミ屋敷」ではないにしても、乱雑を極めていることはたしかだ。
行動に混乱や錯誤がないわけではない。自ら密かに認めている。
強がりばかりを言ってはいられない。
これでも不思議なことが起きる。
孫がやって来るとなると、部屋が見違えるように片付くのだ。
あるべきものがあるべき処に収まるようになっている。
孫の霊験とでも言おうか。
寝転べば秋薄情な雲流る 鵯 一平