戦争が終わったのは、小学校5年の夏休みだった。
その頃の校庭には、さつまいもや玉蜀黍が栽培されていた。
もちろん、遊具などはなかった。
ただ、鉄棒だけはあった。
したがって、体操と言えば、ラジオ体操、かけっこ、鉄棒。
運動神経が鈍かったらしく、鉄棒は大の苦手。
特に、逆上がりがイヤだった。
尻を空に上げるなんて、万有引力に逆らう所業。とても信じられないこと。
ついに、それが宿題となった。
友だちに要領を教えてもらいながら、一心に励んだ。
匙を投げた友だちが家に帰った後、しばらく経ってから何とか仕上がった。
逆上がりやうやく出来てうろこ雲 鵯一平
その友人たちは、早くもあの世へ行ってしまった。