米国は過日、北朝鮮に対する「テロ支援国家指定」を解除した。
昨日(10月14日)の参院予算委員会において、麻生首相は、「われわれは不満だ。米国にははっきり申しあげている」と述べ、米国の対応に不快感を示した。
しかし、今さら遅い。拉致問題を抱えている日本としては、明らかに外交の敗北だ。
今年の6月、ブッシュ大統領は議会に対し、指定解除を通告していた。その動きから見て、時間の問題だった。日本がどのように反対しようとも、既定の事実だったのだ。
これまでの日本外交は、どこかチグハグだった。
福田前首相は、拉致問題を「人権問題」としていた。それは間違いだ。重大な人権問題ではあることはもちろんだが、なによりも、「国家の主権」が侵害されたのだ。
日本の外交は、その観点に立っていなかった。
麻生首相になってから、「拉致問題は国家主権にかかわる重大問題」と強調したが、すでに事態は進展していた。米国にとっては、「核」と「ミサイル」のほうを優先したに違いない。
私は米国の立場も理解できる。「日米安保条約」を締結している同盟国として、日本は何をしてきたろうか。今後、何ができるのだろうか。
たとえば「集団的自衛権について。
集団的自衛権は国際的に認めらている。しかし日本は、「集団的自衛権は保有しているが、憲法上行使できない」という憲法解釈に立っている。
「日米同盟」を結んでいるので、日本が攻撃されたら、米国は日本を応援する義務を負っている。
逆に、米国が攻撃されたら、「日米同盟」を結んでいる日本は、米国の応援をしなければならない。国際法上でも、それは認められている。しかし日本は、憲法解釈によって集団的自衛権を行使できない。つまり、米国を応援できないことになっているのだ。
たとえば、北朝鮮から米国に向けて核ミサイルが発射されたとき、それを撃ち落とすための迎撃ミサイルを、日本は発射できない。
今の日本は、そのような憲法解釈をしている。米国はどのように見ているのだろうか。
北朝鮮問題に関する6カ国協議は、今後も進めらていく。
同じ民族である韓国はもとより、隣国の中国やロシアにとって、日本の拉致問題よりも北朝鮮の立ち直りのほうが肝腎な問題だ。
そのためには日本の経済援助が必要。きっと、日本を追い込んでくるに違いない。
日本の断固たる姿勢を期待したい。
安易な妥協や腰砕けは、日本に対する「主権の侵害」を助長させる。
とは言え、丸裸になっている日本が、どこまで「国家の主権」を主張できるだろうか。
「集団的自衛権」に関する「憲法解釈」について、早急に論議を進めてほしい。
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