写真はキツネアザミ。蕾を真上から撮りました。
私だったら、頭のテッペンは見られたくありませんね。髪の毛がうら寂しい状態になっているからです。うら寂しいなんてもンじゃない。今の私は、そんな状態をとっくに通り越している。
この蕾たちは、従順に撮らせてくれました。真上を見上げ、私を睨んでいたでしょうか。
天井が鏡状になっているエレベーターがありますね。あれはひどく落ち着かない。
天井を見ると、ほかの人の頭の上部も、包み隠しなく見えています。
「上手に隠したってダメだよ。すっかり薄くなっているじゃないの!」
もちろん言いはしませんが、そんな頭が幾つも見えたりします。
日頃尊大な態度の人には、治療効果のあるエレベーターかもしれませんね。
エレベーターに乗る前は、目一杯胸を反らせて、あたりを睥睨するようにしていた重役風も、エレベーターを降りるときには自信を喪失し、目を伏せながら降りていく。
重役室が多い上階に行けば行くほど、目を伏せる人が多くなる。
でもこれでは、会社の業績にとって、良くないかも知れません。
反対に、足下が透明になっている橋や丸太の吊り橋などは、至極足元が覚束ない。
覗き見られそうで薄気味悪い。いや、そんな感じではない。覗かれることなどどうでもいい。吸い込まれそうな底知れない恐怖感があります。
男性と女性では、受け止め方が違うかもしれません。
それに私は、どちらかと言えば高所恐怖症気味。高いところへ上がると、肛門付近がムズムズし、肩に震えがくる。
高いビルの屋上も、あまり得意ではない。
コンクリートで囲まれているのならいいのですが、フエンス状で囲まれている屋上は苦手。
高層ビルの最高階の部屋は好きです。たとえばスカイラウンジなど。これは安心です。
人間関係や仕事関係で、ひどく落ち込んだりしたとき、高層ビルの窓辺は、私にとって癒しの空間になりますね。
「人間、あんなちっぽけな存在じゃないか。そんな存在同士の失敗や諍いなんて、広大な天地からすれば、取るに足らない泡粒みたいなもの。チイセエー、チイセエー」
それで悩みが軽くなります。これは実験済みです。結構な効果がありますよ。
それ以上に効果があるのは、海を見ることです。
波止場ではなく、広い砂浜のほうが抜群ですね。
私の生まれ在所は太平洋の海岸です。
高校3年生の時。コワイモノ知らず時代の生意気盛りでしたから、つまらない諍いも多かった。
ある日の汽車の中、3人のチンピラに囲まれ、ボコボコにされたことがありました。鼻血は出るし、目は腫れるしで、さんざんな目に遭わされました。
痛かったこともありましたが、何よりも口惜しかった。殴られっぱなしだった自分も許せなかった。だから、胸ン中はブツブツと泡立っており、家に帰る前に鎮める必要がありました。
第一、そんな顔では、みっともなくて家に帰れなかった。
しばらく海岸に寝ころんで、広い海を眺めていました。もう夜でしたから、水平線は見えませんでした。ザザーッザザーッと寄せ返す波の音。白い波頭。
おのれの愚かさやちっぽけさを思い知らされました。
家に帰ったら、母親に泣かれました。
「そんな子供に生んだつもりはない!」
この言葉が、何よりも痛かったなア。
つまらない繰り言を並べたて、恐縮でした。
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