またまた古い写真を持ち出しました。
昨年11月、茨城県滝川渓谷での撮影です。
風があって寒い日でした。
冷たい風雨にも耐えた僅かな紅葉が、冷ややかな渓流を飾っていました。
歳時記には冬の季語で、「冬紅葉」があります。
その辺りだけが明るく 、ポーっとした暖かさを感じます。
冬紅葉冬のひかりをあつめけり 久保田万太郎
すでに散り果てた落葉が、石のうえに落ちています。世に言う「濡れ落葉」ではなく、役割をまっとうした枯葉です。
冬紅葉の光景とは異なり、寒々とした気配があります。
渓流を鎮めて降りし落葉かな 鵯 一平
久保田 万太郎の俳句を紹介した同じ日のブログに、拙句を載せるのは不謹慎です。
しかしこの写真に見る落葉には、ひとしおの思いがあり、憫笑を覚悟でご覧頂きます。
大石の上に散っている落葉に、生命をまっとうした清々しさと、世の諸行無常を感じます。
私は「濡れ落葉」という表現は嫌いです。いや、少なくとも私は、そんな呼ばれかたを歓迎しません。
石に張りついている落葉は、役目をまっとうした枯葉です。
中には青葉のうちに落ちる葉もあるでしょうが、それも事情があってのこと。
運不運は世のならいです。すき好んで「落ちて濡れている」わけではないでしょう。
少し言い過ぎをすれば、「濡れ落葉」と蔑称する側に、もう少しの思いやりが欲しいです。
勝手すぎる言い分でしょうか。
山々はもう「冬ざれ」の雰囲気になります。