冷ややか
秋の冷ややかさを撮ろうとしたが、夕暮れ時でもあって、キリッとしたものとはならなかった。
水面に空の雲でもあればよかったのだが残念。
自分の腕を棚上げして、文句を言うな!
都内でタクシーに乗った。
「タクシー料金が値上げですって?」と、イヤみな私の質問に対し、
「そうなんですよ。私たちにはよくないと思うンですがねえ」。まんざら嘘でもなさそうな語調で、ドライバーは言った。
ドライバーとしては、客のタクシー離れが恐いのだそうな。
「お客さんが乗ってくれなくなりますから……。そりゃあ正直なもンですよ」。
つまり、彼曰く、
「値上げをするより、今の料金のまま、歩合をあげてくれればいいンですがねえ」。
勝手なドライバーサイドの言い分と、会社側は言うに違いない。
今回の値上げを承認するに当たって、陸運局は、
「規制緩和をしたのでタクシー台数が増え、一台当たりの売り上げが下がって、そのしわ寄せがドライバーにいってしまった。料金値上げをして、ドライバーの待遇を改善するという会社側の説明を認めることにした」と、説明をした。
おいおい、これは妙な話ではないか。
以前は車両台数を規制していたので、タクシー会社は車両を増やせなかった。つまり、そのことで、自由な競争を阻害していたのだ。
だから規制を緩和して自由化したのではなかったのか。
利用者にも経営者にもよく、ドライバーにも還元できると思ったので、各社は台数を増やしたはずだったよね。
規制緩和の時は、そんな論議だったはずだ。
しかしそれは思惑はずれ。
不景気なので、利用客が減少した。特に、チケット客が激減した。利用会社が交際費や交通費の節減を計ったからだ。
そこへ自由化によって台数が増えたので、ドライバーにとっては一人当たりの売り上げが減少した。歩合制なので、手取りが減ってしまったのだ。
それを料金値上げ、つまり、利用者の負担で解消しようと言うのですか?
規制緩和とは、経営サイドにかかっていた規制をはずしたこと。
規制緩和をどのように活かすかは、経営者の自由な経営判断だ。
うまくいかなかったからといって、利用者の負担で解決するってことになるんですか?
やはりこの国はおかしいね。
安倍さんはやり通せなかったけれど、戦後60年のオリがたまっているのかなあ。
つまり、「戦後レジュームからの脱却」は必要だった。
憲法改正だけのことではなく、脱却すべきことは沢山あった。
もっとわかりやすく、自分の言葉でいってくれればよかったのに。