なぜ資本主義社会は利潤第一主義となるのか?
人間は昔から生きていくために自然の中から道具を作り、狩猟生活や耕作をして、必要なモノを生産し、消費してきました。
この生産と消費がなければ、人間は生活できません。
人間がモノを作るとき、材料や道具、機械などが必要になります。
それを生産手段と言いますが、その時々、誰がその生産手段を所有しているかがとても大事な問題となります。
資本主義社会では、資本家・大企業が、工場や機械などの生産手段を持っているのだが、それを実際に使っている労働者は生産手段を持っていない。
そこで、労働者は、会社などに就職して、資本家・企業が持っている生産手段を使うことができる。
資本主義以前の社会では、農業でも、手工業でも、生産者が作ったものは生産者の所有物として、その後、売り買いされました。
ところが、資本主義社会では、労働者は生産活動をしますが、出来上がった生産物は、資本家・企業のものとなります。
働いてモノを作るのは労働者なのに、出来上がった生産物は資本家・企業の取得物となる。
実は、ここに、資本主義社会の特質の一つがあるのです。
それは、資本家・企業が、生産手段を所有していることに根本原因があるのです。
資本家・企業は、出来上がった生産物を商品として販売し、利益を得ます。
その利益から、材料費や賃金などの経費として支払った残りが利潤となります。
この利潤を常にいかに増やすかを考えるのが資本家・企業であり、これが資本主義社会における生産のエンジン、原動力なのです。
そのためには、どうしたら儲かるでしょうか。
賃金を低くすれば、利益ががっぽりと入ってきます。
労働者をできるだけ低賃金で長い時間働かせて、たくさんの生産物を作らせれば、利益はさらに大きくなります。
これを同一産業の企業やライバル企業などと競争的に行われているのが、現在社会です。
たとえ労働者が過労死しようが、貧困家庭が増えようが、地球環境が破壊されようが知ったこっちゃないと考えるような仕組みとなっているこの資本主義社会は、兎にも角にも、次々とモノを作ることだけを考え、利益を上げていくことが仕組みとして生まれとときから持っている社会なのです。
このように、資本主義社会では、資本家・企業が、生産手段を所有し、労働者を働かせ、その生産物を取得することで、金儲けができる仕組みがあり、資本家・企業は金儲け最優先の社会活動をしているわけです。