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セルジオ越後氏は日本サッカーが嫌いなのか     W杯の日本代表への「辛口批評」に思う

2018年07月01日 13時52分23秒 | スポーツ
 「テレビ東京・SPORTSウォッチャー」に昨日出演したサッカー評論家のセルジオ越後さんがW杯ロシア大会の日本代表チームに「辛口批評」をした。日本人ファンから批判が殺到しているのではないかと心配になった。事実、そのようだ。
  W杯ロシア大会前、彼はテレビ番組でコロンビア、セネガル、ポーランドの格上対戦を分析し、日本代表がグループリーグ突破の可能性は「1~2%」と予想した。これに反して日本代表は見事にグループリーグを突破した。
司会者が「外れたので、謝罪しますか」と質問した。しかし越後さんはたたみ掛けるように「1~2%と予想しましたから、謝罪する必要はありません。しかしトーナメント初戦のベルギー戦の勝利はゼロです。これが外れたら謝ります。ゼロですから」「日本は予選(1次リーグ)を突破しただけで喜んでいる」と公言した。
 この批評に対し、日本人ファンは「一度セルジオ越後さんに代表監督やって欲しいんだけどね(笑)」「セルジオ越後氏はなぜ嫌われるかというと、日本代表に対する愛が微塵もないからだと思います」「こんな奴が日本代表の解説すんなよ」「日本から出て行って下さい。応援しなくて結構です」などと批判した。
 私はどんな意図でセルジオ越後氏が発言しているのかは明確には理解できないが、発言していることはきわめて現実的だ。彼の血は日本人の血が混じっているが、育ちはブラジル。ブラジルの国民性はまったく分からないが、日本人の国民性よりも個人的な感情の起伏は大きくても、目の前の出来事には現実的なのかもしれない。そして多分にサッカー最強国のブラジル人の目から見ているのだろう。
 ブラジルの元プロサッカー選手の目から見れば、日本サッカーの成長段階はまだまだだということだ。それなのに「現実を直視せず、期待値ばかりが前面に出ている。これでは将来的には害あって益なしだ」と批評している、と私は推察する。
太平洋戦争の指導者も「米国と戦っても敗北するが、1~2年なら戦える。その間にドイツが何とかしてくれる。一撃を与えれば、戦意を消失するにちがいない米国人が政府に圧力を加えて、日本との和平に応じる」と期待した。
 日本人の国民性は、必敗の相手でも、「もしこうなれば」と予測して期待する。ましてや日本チームは幸運にもグループ突破した。日本人がますます大きな期待を掛けるのは無理もない。セルジオ越後氏は日本人の国民性を理解していないのかもしれない。
 日系ブラジル人2世のセルジオ越後氏の「辛口批評」に同意する点が多い。ただ日本人には、もう少し婉曲に言うべきだ。日本人は一面強いようで繊細。あまりにも厳しい現実を単刀直入に言われると反ばくする傾向がある。そこを彼は理解していない。
 私は若い頃、7年間ばかり英国に滞在し、英国人から嫌と言うほど「現実を直視せよ。現実から解決口が見つかる。根拠のない期待は決してしてはいけない」と教わった。それ以降、夢見る私は冷厳な現実主義者になった。
 ベルギー戦の勝算はゼロ、とセルジオ越後氏は公言する。これに対して、日本人評論家は「2-1」「3-2」と日本勝利を期待値で予測する。
セルジオ越後氏の厳しい批評は現実を直視してこそ、そこから発展があるのだとの日本人への温かい励ましだ。私もベルギー戦の勝機は99.9%ないと思う。日本人だから、セルジオ越後氏と違って、わずかな期待をこめて0.1%あると言っておきたい。
 もっとも大切なことは、皆で日本代表の勝利の可能性を論じる楽しさではないだろうか。太平洋戦争と違って、サッカーW杯で日本代表が敗北したところで、国は滅びない。国民が塗炭の苦しみに投げ込まれない。W杯はお祭りなのだ。楽しくいこう。セルジオ氏は日本人の心を理解して日本サッカーの将来のために貢献してほしいと願う。
 
 

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