英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

台風26号が教える今後の原発政策

2013年10月16日 17時50分33秒 | 地球環境・人口問題
台風26号は大きな爪痕を残して日本列島を過ぎ去った。伊豆大島では16人が死亡、50人以上が行方不明という。この台風の風雨で東電福島第1原発の汚染水がどうなるかも大きな関心を集めた。
   朝日新聞は「台風26号による雨の影響で、東京電力は16日早朝、福島第一原発の汚染水タンクを囲む堰(せき)内にたまった雨水があふれるとして、排出を始めた。東電によると、排出したのは午後0時半現在で9カ所のタンクの区画。放射性物質の濃度を調べ、15日深夜にまとまった暫定基準値未満であることを確認したという。
  東電によると、16日午前5時40分、原子炉建屋の山側にあるCエリア西とCエリア東の堰内の水を約40トン排出した。排出前に一時貯蔵タンクに移して放射性物質を調べたという。その後も堰内に雨水がたまり続け、あふれそうになったことから、午前7時ごろからは堰の排水弁を開けて直接堰外に流した。また、他の7カ所のタンクの区画でも堰の排水弁を開けてたまった水を流したという」と報じた。
 昨日の所信表明演説で、安倍晋三首相は、福島の汚染水問題を解決すると大見得を切ったが、事はそうたやすくは解決できまい。現実を観察すれば、その場限りの対処療法で何とか危機をしのいでいるが、抜本的な解決を見出していない。東電幹部は抜本的な解決策を見いだせないでいるのではないか、とわれわれは疑心暗鬼になる。
 汚染水問題を解決するための努力をする一方、この事故から学ぶ教訓はクリーンエネルギーをどうするかだろう。
 NHKの午後7時のニュースによれば、小泉純一郎・元総理大臣は千葉県木更津市で講演し、再び原発ゼロを訴えた。今後のエネルギー政策について「政府・自民党が原発をゼロにして自然エネルギーに変えていく方向性を打ち出せば、おおかたの国民は協力してくれる」と述べ、「原発ゼロ」社会を目指すべきだという考えを改めて示した。
 この中で小泉元総理大臣は、今後のエネルギー政策について「東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、このまま原発を推進していくのは無理だと感じ始めた。一番の理由は高レベル放射性廃棄物の処分場が日本にないことで『核のゴミ』の捨て場所もないのに原発を再稼働すればゴミはどんどん増えていく」と強調した。
 筆者も長期的な総論は賛成だ。どうのようにして原発をセロにしていくことができるのか、を国民と政府は考える時が来たのだろう。『核のゴミ』が処理できる技術が開発されたとしても、原発だけに頼るのは無理があるようだ。
  ただ即座に廃止というのは現実的ではない。少なくとも原発を増設せず、国民の節電努力に頼りながら、火力発電や、太陽光、水力発電、風力発電、地熱発電をも活用することだろう。いずれにしても原発を限りなくゼロにするため、火力に頼ることなく、風力発電などを改良していくことが大切なのではないか。風力発電や太陽光にも原発同様、必ずデメリットがあるはずだ。そのことも計算しながら、一歩一歩バランスのとれた電力政策を構築すべきだ。
  当面は原発を稼働させながら、火力、風力などのバランスのとれた電力政策を政府は模索すべきではないのか。太陽光などの新しいエネルギーを見据えながら原発縮小均衡へ持っていくことだろう。
 人間の欲望は限りない。この欲望は歴史を通して良い面と悪い面の両方に働いてきた。この際限のない欲望をコントロールする克己心も現在人間に求められているのかもしれない。日本人や世界の人々にとって「ほどほど」が一番良いのかもしれない。この克己心が原発ゼロへの道を切り開く切り札にもなる。

写真は福島第1原子力発電所
 



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