英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

子どもの手本になる稀勢の里  横綱昇進おめでとう

2017年01月25日 11時48分56秒 | 生活
 日本相撲協会は25日朝、東京・国技館で臨時理事会を開き、満場一致で、初場所で初優勝を果たした大関稀勢の里の横綱昇進を決めた。72代横綱が誕生した。19年ぶりで日本出身力士の横綱が誕生した。
 相撲協会から派遣された使者の前で稀勢の里は、「謹んでお受けいたします。横綱の名に恥じぬよう、精進いたします」と口上を述べた。
 過去4~5代の横綱のように四文字熟語を使用せず、平易に自分の気持ちを表現したのは素晴らしかった。記者会見で相撲が強くなるだけでなく、人格面でもますます磨きをかけ、誰からも尊敬される横綱になりたいと抱負を述べた。この言葉の中に彼の愚直さと良心がある。
 元横綱審議委員で脚本家の内館牧子さんが「裏切られても裏切られても、私は稀勢の里が好きだ」と話したと朝日新聞が伝えている。
 内舘さんが語った「裏切られても裏切られても」という言葉を言い換えれば「失敗しても失敗しても」ということだろう。
 稀勢の里は失敗しても失敗しても腐らずにあきらめずに稽古に励んで精進し、横綱という大輪をつかんだ。稀勢の里の先代師匠の鳴門親方(元横綱・隆の里)が生前、稀勢の里に「勝って喜ばず、負けて悔しがらず」と教えたという。読書家として知られた故隆の里ならではの言葉だ。
 稀勢の里は亡き先代師匠の遺言を頑なに守り、土俵上ではまったく表情を変えてこなかった。冷たささえ感じる表情だ。これに対してモンゴル出身の横綱は、勝って懸賞金を受け取る際に派手なパフォーマンスやガッツポーズをすることがしばしばある。私のような日本人にはどこか違和感がある。
 稀勢の里は負けても負けても歯を食いしばって精進した。その精神を英国の名宰相のウィンストン・チャーチルは天国から拍手しているだろう。「失敗にもめげずによく頑張った」と褒めることだろう。
 第2次世界大戦で不屈の精神により英国を勝利に導いたチャーチルは「失敗しても失敗してもあきらめてはいけない。失敗の連続から成功と勝利があるのだ」と語っている。また自分の信じる道を、それが他人から批判されようが、進みなさい、とも語り、「もしそうすれば、慈悲深い自然はあなたを見捨てはしない」と強調している。
 稀勢の里はチャーチルの信念の道を進んで横綱という大相撲の最高峰に至った。子どもにとって稀勢の里の生き方は人生の道を歩く教科書になる。少しばかり大げさな言い方かもしれないが、筆者はそう思う。

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