事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「バンド・オブ・ブラザース」Band of Brothers スティーブン・スピルバーグ&トム・ハンクス製作総指揮

2008-06-01 | テレビ番組

第二次世界大戦のヨーロッパ戦史に新たな1ページを記した、2001年度ゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞受賞(TVドラマ&ミニシリーズ部門)に輝く超大作。原作は1992年に出版された歴史家スティーヴン・アンブローズの同名ベストセラー・ノンフィクション。
物語は1942年から1945年までの3年間、米陸軍101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊の中のエリート部隊「E中隊」の苛烈な戦いのプロセスを兵士たちの人間模様を軸に描かれている。製作費1億2000万ドル(約150億円)を費やし10話からなる全10時間余りの構成で、テレビのドラマシリーズとしては、すべてに桁はずれのスケールで展開する。
ジョージア州トコア基地の新兵訓練から、D-デイ前夜のノルマンディへの降下、オランダでの「マーケット・ガーデン作戦」、ドイツの最後の反撃「バルジの戦い」、ベルヒテスガーデンの攻略、さらにダッハウのユダヤ人強制収容所、そして終戦間際のヒトラーの山岳の隠れ家「イーグルズ・ネスト」(鷲の巣)の占拠とE中隊の転戦の跡を追う。

『自衛』『自国民保護』『警察行動』……さまざまな理屈をくっつけても、戦争の本質は陣取り合戦だ。戦争は子どものお遊びの延長線上にあるのであり(逆に、陣取り合戦こそ戦争の巧妙なシミュレーションだ)、だからこそ男はなんだかんだ言っても戦争が“好き”なのである。

この「バンド・オブ・ブラザース」は「プライベート・ライアン」組がつくりあげたこともあって戦闘描写はリアルそのもの。足は吹っ飛び、銃弾は内臓に食い込み、恐怖のために兵隊の神経は次第に病んでいく。しかしそれでも戦争好きな観客は「もしこの戦場にオレが今いたら……でもオレには弾は当たらないからな」と根拠なく楽天的に考えている。およそ戦争映画ファンとはそんな度し難く無邪気な存在だ。

だが、10時間以上もE中隊の戦闘につきあっていると、そんな無邪気さも吹き飛んでいく。ノルマンディ上陸、バルジ大作戦、マーケット・ガーデン作戦など、これまで多くの戦争映画で描かれてきた史実がみなつながってしまうと「戦争とはひたすら消耗戦なのか」と気づかされる。そうなのだ。戦争が終わるか、死ぬか負傷しないかぎり彼らは転戦しなければならないのだった。これはしんどい。現代の戦闘マニュアルに掲載されるぐらい有能なリーダーに率いられたE中隊は、だからこそハードな戦場に配置され、一時の勝利を得ても、さらに過酷な戦闘が待っている。子どもの陣取り合戦は夕闇が迫れば自然に終了する。しかし……

第6話「傷病兵」の哀切さだけでも必見。戦場、を実感できる。

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