事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「漂砂の塔」 大沢在昌著 集英社

2019-07-10 | ミステリ

ひさしぶりの大沢在昌。650ページの大長篇。小説を書くのが業のような作家だなしかし。

舞台は2022年、歯舞諸島の架空の島。ロシア・中国・日本が合弁でレアアースを採掘しているという強引な設定。

その採掘工場近くの浜辺で、両眼をくりぬかれた日本人技術者の死体が見つかり、政治的にはロシア領なので日本の警察は刑事を送りこむわけにもいかず、クォーターなので“ロシア人のように見えなくもない”潜入捜査官を島に派遣する。

彼はロシア語と中国語が使えるが、強面の刑事というわけでもなく、殺人事件の捜査などやったこともなく、捜査権もない。おまけに、丸腰で元KGBや中国の諜報員と渡り合うことを強いられる。

その時点で何語を使うかの選択に常に気を払うなど、冒険小説の醍醐味がたっぷり。おまけに、その島では九十年ほど前に、島民の約半数が惨殺されたという八つ墓村的猟奇もしこんである。

いったいどう落とし前をつけるかと思ったらそう来たか。孤島における不可解な殺人という意味で本格趣味も味わうことができてお得な一冊。さすが、手練れの小説家はやることがサービス満点。まあ、さすがに「日本の警察」シリーズではくくれませんがとにかく面白いっす。

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