事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「妖怪大戦争」('05 松竹)

2008-04-24 | 邦画

Great20yokai20war_1  この映画のリーフレットを映画館でもらったのは('05年)春のこと。それ以来、(当時)小5の娘は「うー、はやく見たいな『妖怪大戦争』!」とことあるごとに絶叫。荒俣宏の原作など、ハードカバーの長篇なのに四時間で読み切ったぐらいである。おかげで初日の一回目に連れて行かなければならなくなった。いったい何が彼女をこうまで夢中にさせたのだろう。妖怪の魅力って、なんだ?

 わたしが水木しげるに最初にふれたのは、少年マガジンに連載されていた「墓場の鬼太郎」時代の『大海獣』のエピソード。ネットで検索すると’68の作品だから、小学校の低学年の頃だったのか。やはり娘と同じように夢中になったので、妖怪は日本の子どもにとって一種の通過儀礼なんだろう。「ゲゲゲの鬼太郎」が時代をこえて四回もアニメ化されているのがその証拠。

 おそらくは三池崇史にとって最大の予算を与えられた「妖怪大戦争」は、なぜ妖怪が少年少女を魅了するのかに、いかにも三池らしい回答を用意している。【性の目覚め】これだ。成長するにつれ、身の回りから少しずつ“不思議”は消えていく。その消えゆく怪しさを惜しむ気持ちと、新たに生まれてくる異性を求める心、この二つが結びついた地点こそ、妖怪という淫靡な存在が棲む場所ではないだろうか。雨上がり決死隊の宮迫が、川姫に助けられて妖怪に魅せられるエピソードなど、子どもにこんなの見せてだいじょうぶか、と思うくらいセックスの匂いがぷんぷんするのだ(笑)。こりゃあ、たまらんわな。

 キャストは大笑い。鳥刺し妖女役の栗山千明は、「キル・ビル」のゴーゴー夕張役に続いて異常さ爆発。この人、もう普通の役はできましぇん。河童は阿部サダヲの天職。近藤正臣も猩々役が気持ちよさそうだ。意外な配役は数々あれど、もっとも子どもたちに大うけするはずの小豆あらいが“あの人”なのは娘も気づいてなくてかわいそうでした。主演の神木隆之介は、「ハウルと動く城」のマルクルの声でおわかりのように、まちがいなく天才。この年齢でなければ演じられない不安定さがかわいい。美形だしね。

 まるで文士劇のように水木しげるをはじめとした作家連中がたくさん出ていて、いちばん生き生きとしていたのは「みなさん、本を読まないとろくなオトナになれませんよ!」と生徒にクギをさす宮部みゆきセンセイでした(笑)。SFXがもうちょっとかな、という部分もあるけれど、夏休みムービーとして、子ども時代に帰れる一本。妖怪に会えるのはうれしいが、120万匹ってのは多すぎないかしかし(^_^;)。

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