このやり取りをそばで聞いていた秋田の部長(当時)のヤマガタさん(ややこしい)が、
「まるで『原子力戦争』だな」とつぶやく。
「……原田芳雄の?」こんな大昔のATG(アートシアターギルド)映画のことを知ってるのって私らぐらいだろう。山口小夜子(合掌)も出てたなあ。
調子にのって今度は映画ばなし。
「百円ライターを一番最初に使った日本映画って知ってる?」
「え……知らない。」
ヤマガタさんトクトクと
「『最も危険な遊戯』だよ。」
「うわ、山形出身監督(村川透)じゃないか、しまったあ」
ひょっとして組合の幹部って映画に逃避する傾向があるんだろうか。何が哀しくて秋田の温泉でATGやら東映セントラルのマニアックな映画の話をしてなければいけないんだか。
この「人魚伝説」は山形出身監督(池田敏春)が撮ったATG映画。しかも原発を扱った映画である。まるで三題噺みたいだが、久しぶりに観てもこれは傑作だった。
白都真理扮する海女さんが、亭主(江藤潤)を殺した原発推進派を皆殺しにする復讐の映画だ。池田は日活ロマンポルノ出身らしく(村川透もそう)、濡れ場の演出が妙にねちっこいのが笑える。
とにかく白都真理をひたすらいやらしく撮っていて、有名な大殺戮シーン(はたして銛一本で何人殺したか今回もよく分らなかった)まで、まるで濡れ場のように見えるのだった。ラスト、死ぬこともかなわない、人魚のような白都真理の神々しいこと!
現実の白都は、しばらく見ないな、と思っていたらアメリカに渡っていたらしく、帰国した今は容色も衰え、どうやら宗教に走っている様子。不老不死の人魚には、なれなかったみたいだ……。
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