事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「海と毒薬」(1986 ヘラルド)

2017-07-08 | 港座

終戦直前に北九州で実際にあった米兵生体解剖事件がモデルになっている。原作は遠藤周作。“海”と“毒薬”が何をシンボライズしているか、きっと読者は生と死、神の存在と不在をからめて考えるようになっているんだと思います(未読です。すみません)。

大学病院に勤務する若き医師に奥田瑛二渡辺謙。良心の呵責に苦しむ勝呂に奥田、なぜ自分は罪を感じないのかといぶかる戸田に渡辺。きっと今なら逆のキャスティングになるでしょう。

DVDの特典映像では、トレンディドラマでブレイクし、いい気になっていた自分を、徹底的に覚醒させてくれた作品だと監督の熊井啓との対談で奥田は吐露しています。

禁断の生体解剖を行う医師、看護婦たちの、それぞれの事情や動機が、進駐軍の将校(岡田眞澄)の尋問によってあらわになっていく。

執刀する橋本教授は、学内の権力闘争に敗れつつあり、乾坤一擲の機会をうかがっていた。そのあせりが軍部の要請を受け入れる結果につながる。演じているのは田村高広。もちろんこれは、同じように派閥争いを描いた「白い巨塔」において、ひとり良心的な医師・里見を田村が演じたことを意識して起用したのだと思います。ダークサイド・オブ・ザ・白い巨塔ってところですか。巨塔もだいぶ黒いですけど。

脇に成田三樹夫、西田健、岸田今日子、根岸季衣、神山繁。彼らがいることの豊潤を思う。特に、戦前の看護婦がどれだけ医者に虐げられ、同時に看護婦が医師を盲目的に尊敬していたかの描写がむしろ怖いくらいだ。

熊井啓の演出はまことに細かい。病院で死ななかったら空襲で死んでしまう時代におけるモラルとは何かを問う傑作。監督補はなんと原一男(「ゆきゆきて、神軍」の監督。「シン・ゴジラ」では学者のひとりを演じていましたよ)でした。

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