観る順番が悪かったんだと思います。この映画の直前に観ていたのは、あの濃密で画面全体がドル札でできているかのような「アベンジャーズ/エンドゲーム」。3時間以上もある超大作。一転してこの映画は、東映とフジテレビが組んで「テルマエ・ロマエ」の監督が撮った、うっすーい作品。どうしたって分が悪い。
徹底的に埼玉をディスったネタの連続で、原作は「パタリロ!」の魔夜峰央。パタリロかあ……アニメは何度か観てました。♪だーれが殺したクックロビンっ♪ですよね。
主人公と美青年がからむというボーイズラブ的な意味ではこの映画もいっしょ。東京がダントツに都会で、埼玉県人や千葉県民が東京に入るには通行手形が必要で、茨城は問題外、群馬は秘境……というヒエラルキーばりばりの世界。
東京のなかでもランキングははっきりしていて、赤坂や青山がトップで次が中央区。わたしが住んでいた狛江はどうあつかわれているかというと
「執事なんかやってるんですもの。狛江か町田あたりの出身でしょ」
そういえばあのころから「23区でもないくせになんで市外局番が03なんだよ」って文句いわれてました狛江(笑)。
埼玉内部でも、ことあるごとに
「与野はだまってろ!」
とか、映画オリジナルの『NACK 5』(埼玉のFM局ね)を聴きながら結納に向かう一家が出てきて、「春日部に家を建てるっていうのよー」「クレヨンしんちゃんじゃないか」「好きじゃないし!」テレ朝や東宝は怒らないのか(笑)。
主人公(男)に二階堂ふみ、とりまくふたり(埼玉&千葉代表)にGACKTと伊勢谷友介という美男ふたりをキャスティングし、あぶないネタをガンガンぶちこんで……おかげで30億以上も稼いでいる。へー。
正直にいいます。山形県民にはちょっと退屈でした。この県民ショー埼玉版は、コメディとしてリズムが悪すぎますもの。でも武田久美子、小沢真珠、中原翔子というこなれた美女軍団は東映らしくてOK。