事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2017年9月号 定年延長。

2017-09-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2017年8月号「印刷室の彼女」はこちら

男性週刊誌、というジャンルがあります。主要なところでは「週刊朝日」「サンデー毎日」などの新聞社系。「週刊ポスト」(小学館)「週刊現代」(講談社)「週刊文春」(文藝春秋)などの出版社系。当初は新聞社系が先行し、のちに出版社系が猛追。

いまは毎週のようにスクープを連発するセンテンス・スプリングが独走し、新潮が追いかけている状態。身におぼえのある人たちは、ドキドキしながら発売日の木曜朝を迎えています。

こんなイケイケのジャンルが成長したのは、昭和30年代に、太宰治、井伏鱒二、松本清張らを育て上げた敏腕編集者、齋藤十一という新潮社の天皇が牽引した週刊新潮が創刊されてから。蓄財とスキャンダルとヌードという、日本の高度成長を支えたサラリーマンたちの欲求に応えたからです。

ところが。

近年の男性週刊誌は、まるでひと頃の健康雑誌みたいになっています。今週号の見出しでも

「誤嚥性肺炎で死なないための対策ガイド」(文春)

「睡眠時無呼吸症候群で寿命が10年縮む」(現代)

「高齢者に警鐘! 認知症抑制薬が寝たきりを招く」(新潮)

……なんだこりゃ。誰でもご想像になれるように、要するに読者が思い切り高齢化しているのでしょう。でなければ河合奈保子(お若い方はご存じない元アイドル)の再ブームなど理解できるはずがありません。そんななか、週刊ポストが思い切りかみついたのは、政府のこの動きに対して。

公務員定年65歳に延長 段階的に 来秋にも法案

政府は、国家公務員と地方公務員の定年を現行の60歳から段階的に65歳まで引き上げる検討に入った。少子高齢化で生産年齢人口の減少が見込まれる中、労働力確保を図る。早ければ来年秋の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。

政府は6月、内閣人事局や総務、財務両省などの局長級による関係省庁連絡会議を設置し、定年の引き上げ幅などを議論している。菅義偉官房長官は1日の記者会見で「労働人口を確保しつつ、社会全体の活力を維持するために幅広い検討を進める」と述べた。

最終的に65歳までの定年延長を視野に入れるのは、公務員の年金受給開始が2025年度までに65歳に引き上げられるためだ。定年と受給開始年齢を合わせることで、収入の「空白期間」が生じるのを防ぐ。

ただ、定年延長は総人件費の拡大につながる可能性がある。政府は60歳以降に役職定年制を導入するなど、給与水準を抑制する方策をあわせて探る。(9月1日付 毎日新聞)

……毎週のように公務員たたきを演じ、高齢読者の意見を代弁するかのようなポストはこう断じました。

「現在57歳の国家公務員(ノンキャリア職員)の平均年収は約804万円で、定年延長がなければ2020年に829万円で60歳の定年を迎える。ところが、定年延長で65歳まで勤め上げればその給与水準をほぼ維持したまま、ざっと4000万円ほどの生涯賃金が上積みされる計算になるのだ。」

……“ためにする議論”の典型。そんなわけないだろ。このお話は来月もやります。

画像は「三度目の殺人」(2017 東宝=GAGA)
脚本、監督:是枝裕和
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず

タイトルどおり、三つの殺人が描かれます。いや、正確には画面上にあらわれるのは一つだけ。しかも犯人が明確なのは(ちょっとネタバレですみません)三つ目の殺人のみという穏やかならざる映画。
スキャンダルで火だるまになっている斉藤由貴が、まさしくそういう役で出てきてあまりの符合にびっくり。天然の邪悪さとでもいうべき魅力が爆発です。不倫がなんだ。週刊誌に負けるな斉藤!

 2017年10月号PART1「定年延長。の延長戦」につづく

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