事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

真田丸 第十回 「妙手」

2016-03-13 | 大河ドラマ

第九回「駆引」はこちら

前回の視聴率は16.6%と最低を更新した。甘くないですなあ。裏の日テレバラエティ軍団は、ひところ数字を落としていたのに大回復。そちらの影響と、BS視聴の定着があるのかも。

でも世の中には6時からBSで、8時から総合で、あろうことか土曜の再放送まで見る人がいるぐらいだからリピーター人気ともとれる。っていうかね、中味がつまってる感じで敬遠されてるってこともあると思いますよ。面白いのはわかるけど、どうも敷居が高いというか。

真田家が大名に進化するこのあたりがまたすごい。昨日までは同じ仲間だったのが、今日からは家来にしてしまうのだから。まあ、(真田が)武田家内で勇名をはせた人物であり、沼田地域を奪取しているわけだから、小県の他の国人衆は割り切れるのかもしんないけど。

その点では、どの戦国大名も苦労しております。

最上義光は山形県内に散らばる親戚衆を押さえ込むのに苦労し、毛利元就・織田信長は弟を殺すことで親戚衆を黙らせ、国人衆を家来にし、絶対権力の確立に成功します。(あの手、この手、さまざま使ってますが)

武田家も信玄が絶対的存在に見えますが、いやいや親戚衆・家来衆にすごく気を遣っています。勝頼に至っては、一武将からの跡継ぎ昇格を認めてもらえず(信玄も後継宣言できず)一門衆からの裏切りでああなってしまいます。恐怖か畏怖かカリスマ性か、何らかのものがないとリーダーにはなれなかったのですねえ。

……城マニアのような人はめちゃめちゃ喜んでいます(笑)

STAR WARSに顕著なように、コアなファンが騒ぐと、かえって“そちらにおまかせします”という結果に。「フォースの覚醒」が興収110億どまりなのは(立派な数字だけど)そのあたりの壁ではないかと。

でも、面白いんだからどうでもいいや。さあ今回のタイトルは「妙手」。まさしく、そのとおりの展開。真田パパ(草刈正雄)と高梨内記(きりのお父さん)の囲碁の帰趨で物語を象徴。「古畑任三郎」で囲碁のプロを殺人者にした回まで書いた三谷幸喜なので、そのあたりがなんとも絶妙。負ける対局は反故にし(草刈正雄のコント芝居はあいかわらずおみごと)、勝てる勝負だけ決着させる。

北条と徳川が手を結ぶという逆境(にしたのは真田パパのせいだけど)を、よりにもよってこのあいだ裏切ったばかりの上杉の手を借りてひっくり返すというお話。“いくさ芝居”という、真田と上杉が戦闘状態に入ったという噂だけを流すために、双方が芝居を打つ。これが史実かどうかはしらないけれど、ドラマとして最高です。策謀を絵に描いている。その絵を描いたのが信繁(堺雅人)で、演じたのがお兄ちゃん(大泉洋)だったのは、芝居のプロデューサーと役者の関係に似ていて笑える。


連続ドラマを書くうえでむずかしいのは、レギュラー陣をちゃんと毎週出さなければならないとこだと三谷は語っていた。でもそんな苦労は微塵も感じられない。

草笛光子が人質になっていたこと、長澤まさみがちょいとふてていること、お兄ちゃんの奥さんである長野里美(この人も小劇場出身。上杉祥三の奥さん。三谷幸喜のリクエストか)が今週も死亡フラッグが大漁旗のように立っていることなどすべて、のちの展開に露骨に影響している。お兄ちゃんの後妻が本多忠勝(藤岡弘、)の娘であることを加味すれば、今週しこまれたネタがどれだけ多いことか。

いやーここに来てもっと面白くなるのかあ。家康の側室である斉藤由貴が、うっすらと邪悪であるとか、感激しやすい上杉景勝(遠藤憲一)が、信繁の芝居にマジで涙を流す(カレー食べながら噴きそうになりました)とか、周到な展開にびっくり。どこまで行くんか真田丸―。

ということで今回もみっちりつまってるので16%台なんだろうか。こんなに面白いんだから上昇してほしいけれど、面白すぎて普通の視聴率だとすれば、このあたりで推移してほしい気も。以下次号。

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