事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的朝ドラ史PART19 あぐり

2015-09-15 | テレビ番組

PART18「ひまわり」はこちら

96年後期も、朝ドラは一大ブームをまき起こした。「ふたりっ子」である。双子のお話。というかストーリーは視聴者の予想を裏切りまくる。

性格が正反対の双子が、かたやプロの将棋差しをめざすおてんば娘、かたや優等生。お互いが伴侶を見つけて合同の結婚式を挙げ……こう聞けば予定調和なマイホームドラマだろうと誰だって思う。ところが、将棋差しは離婚、優等生は事業に失敗、父親は演歌歌手の付き人になって……

これを書いたのが大石静。エッセイ「わたしってブスだったの?」でベストセラー、「長男の嫁」で浅野ゆう子を野際陽子にいびらせ、「私の運命」で坂井真紀にジェットコースター的展開を用意し、「セカンドバージン」で17才年下の男性との不倫を……な人。こってりしています。

そのこってり具合と、三倉茉奈・佳奈の愛らしい双子(当時10才)の達者な演技が評判となり、くわえてなぜか演歌歌手を演じた河合美智子がオーロラ輝子として大ヒットを飛ばし、紅白歌合戦に出場するという意外な余波まで。文学座の新人だった内野聖陽がブレイクするきっかけともなった。

ただ、肝心の主役たち、岩崎ひろみと菊池麻衣子がその後いまひとつなのは残念かも。財閥の御曹司として山本太郎が出演していて、彼はいまや違った方面でブレイクすることとなったわけだ。

視聴率的には「ふたりっ子」には及ばなかったけれども、わたしが大好きだったのは97年前期の「あぐり」だ。

美容師のお話。というより、吉行淳之介、吉行和子、吉行理恵のおかあさんの話と言った方がわかりやすいかも。演じたのは田中美里。わたし、彼女のファンなんです。特に「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」における自衛官役はすばらしかった。

しかしこのドラマを傑作たらしめたのは、夫のエイスケを演じた野村萬斎だろう。よく考えたらひどい亭主なのである。放蕩の限りをつくし、借金をこしらえて世間知らずの妻を遺して死んでしまう。でも、どうしても憎めないキャラになっていたのは萬斎のお手柄。あの薄ら笑いは無敵ですもんね。以下次号

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする